「戸建て」かマンションのどちらを、マイホームとして購入するべきか迷う人は多くいます。一生に一度の買い物であるため、簡単に決断することは難しいでしょう。「戸建て」もしくはマンションの購入には、購入資金・将来のライフプラン・理想の生活・売却のしやすさ、など様々なポイントからの物件比較が重要です。今回は、「戸建て」とマンション購入のどちらがお得かを、ファイナンシャルプランナーが徹底解説しますので、参考にしてください。
冒頭でも触れたように、戸建てかマンションどちらを購入するのかを決めるには、いくつかのポイントから比較する必要があります。
なぜかというと、居住エリアやライフプランなど、購入者の希望によってどちらの方が得をするかは、大きく変ってくるからです。
理想のマイホームを手に入れるため、ここで紹介する比較ポイントを基に戸建てとマンションどちらがお得になるか、検討してください
最初の比較ポイントとして大切になってくるのは、何と言っても購入コストです。購入時にいくら必要になるかで、住宅ローンの借入額(毎月の返済額)も変ってくるので、以下のポイントを確認していきましょう。
【購入時に掛かるコスト比較】
※戸建て・マンション共に一般的に掛かる費用のみで比較
〇マンション・戸建てどちらにも価格諸費用
・印紙税:各種契約に掛かる印紙代
・ローン借り入れ費用:事務手数料等
・保険料:火災,地震保険等
・登記費用:住宅を自分の持ち物として登録する費用
・不動産所得税:不動産取得に掛かる費用
・固定資産税:所有する土地建物に掛かる税金
・仲介手数料:売買の仲介に入る不動産業者に支払う費用→新築一戸建て/新築・中古マンション
※売主と別の不動産会社が仲介した場合のみ発生
〇どちらか一方に掛かる費用
・修繕積立金:建物の管理費→新築・中古マンション
・水道負担金:水道契約に掛かる費用→新築一戸建て
※参照
[マンションVS一戸建て]徹底比較!選んで正解なのはどっち?? | 住まいのお役立ち記事 (suumo.jp)
一般的に新築一戸建てであれば物件価格の5%〜10%、新築マンションであれば物件価格の3%〜5%が購入時に必要な費用といわれています。
物件価格自体はエリアや、住宅の性能によって変わってくるので、希望物件の価格とここで紹介した項目で比較してみてください。
次に資産価値を比較していきます。売却時の事を念頭に置き、耐用年数と売りやすさ(立地)をポイントに検討していきましょう。
【資産価値比較】
※一般的な構造として、戸建ては木造、マンションは鉄骨RC造で比較
〇法定耐用年数
・マンション→47年
・戸建て→22年
〇売りやすさ(立地)
・マンション→駅近人気エリアに多い
・戸建て→街の中心地から離れた郊外に多い
この2点の比較から、建物としての価値が長期的かつ、人気エリアに建築される事の方が多いマンションの方が需要があると言えます。
そのため、売却のしやすさ(流動性の高さ)から考えると、資産価値が高いのはマンションになるでしょう。
一方で、郊外のマンションと郊外の戸建てを比較すると、当然ですが見方は変わってきます。また近年では、法律で定められた耐用年数よりも遥かに長期的な優良住宅の戸建ても増えてきているため、購入する住宅の性能とエリアを事前に比較検討しておく事が大切です。
最後にランニングコストの観点で重要になってくる、維持費で比較してみましょう。
以下、簡単に比較できる維持費のポイントを記載しますので参考にしてください。
【維持費比較】
〇マンション
毎月支払う管理費・修繕積立金などが維持費となる。維持に掛かる手間は省けるが固定費負担が大きい
※管理費・修繕積立金の費用は物件によって変動
〇戸建て
維持費としての月の固定費はないが、住宅性能を維持するための定期点検や、数十年に一度の大規模修繕などで数十万円~数百万円が必要になるケースも多い
月の固定費だけ見ると、マンションの方が負担が大きく感じます。
しかし、一度に必要になる費用が大きい戸建てと比較すると、ランニングコストとして一概にどちらの維持費がお得になるかの判断は難しいです。
そのため、住宅購入前に、予定の居住年数から維持費を算出して比較するようにしましょう。
比較するべきポイントが分かったところで、戸建て・マンションのメリットデメリットを紹介しますので、違う観点からの参考にしてください。
まず戸建て購入のメリットとして挙げられるのが、マンションよりも比較的広い物件が多いという事です。部屋の広さだけでなく、プライベートな駐車スペースなどの敷地も併設出来る場合がほとんどでしょう。
また、住宅内は全てプライベート空間のため、マンションのように隣室や下階への騒音を気にすることなく、比較的プライバシーの守られた生活を送りやすくなります。
戸建てのデメリットとして挙げられるのが、セキュリティ対策を自分自身で行わなければいけない事です。
当然ですが戸建て住宅では、全ての管理を自分で行うため、防犯対策も自分自身で行う必要があります。マンションのように、入居した時からオートロック付きで、エントランスに防犯カメラが設置されている事はほとんどありません。
また、管理という面では修繕や設備トラブルなども、全て自己負担での対応となるため、緊急時に手間や費用が予想以上に掛かる事があるというデメリットもあります。
マンションの最大のメリットとして、駅近など比較的利便性の高い物件が多い点が挙げられます。
また鉄骨RC造のものが多く、耐用年数という観点から、木造戸建てよりも性能が高い物件が多いというのもメリットです。
他にも、上階であれば眺望が良い事や入居時からオートロックや防犯カメラが設置されており、セキュリティ面で安心できる点もメリットの1つでしょう。
マンションなどの集合住宅では、騒音によるご近所トラブルが多い点がデメリットと考えられます。どんなに気をつけていても、少しの生活音でもトラブルに発展するケースは少なくありません。
また、間取りや広さなどある程度希望を反映させられる、注文住宅(戸建て)と比べると既存の物を購入する事が多いため、自由度が聞かないという難点もあります。
ここまで説明してきた通り、戸建てでもマンションでもメリットデメリットが存在し、比較ポイントを決めしっかりと検討することが大切です。繰り返しになりますが、マイホーム購入は購入者の希望、居住しているエリアによって答えが変ってきます。
ぜひ、今回紹介したポイントを参考に一番お得な選択をしてみてください。
自分自身で決める自信が無い人は、住まいとお金のプロであるファイナンシャルプランナーへ相談することもおすすめです。
小峰一真(こみねかずま)
2級FP技能士/証券外務員2種/住宅ローンアドバイザー| 明治大学政治経済学部卒業
大手国内証券会社、外資系保険会社を経て、前職では独立系FP事務所に創業から携わっていました。資金計画作成、住宅購入相談、資産運用、保険相談など全般的に得意で、セミナー講師も担当しています。趣味はゴルフと読書、スポーツ観戦(横浜Fマリノス、明治大学ラグビー部を応援!)です。