マイホームを検討している人にとって、「注文住宅を建てるか建売りを買うか」どちらがお得かは悩みの一つです。資金が潤沢なら自由設計の注文住宅で理想の家を手に入れたいところですが、現実はそう出来ない人の方が多いでしょう。限られた資金の中でお得な方「建売り・注文住宅」を選択した方が、理想のライフプランを実現できます。今回は建売りと注文住宅どちらを購入した方がお得かをファイナンシャルプランナーが徹底解説します。
まず、建売り住宅と注文住宅を比較するにあたって両者の一般的な違いを簡単に説明しますので、参考ください。
◆建売り住宅:既に建築済みの住宅を土地とセットで購入
◆注文住宅:土地を購入後、ハウスメーカーや工務店などに設計建築を依頼して建てる
一般的にマイホームを購入する人たちは、この二つのどちらかを選択する事となります。
既に出来上がった住宅を購入する建売りと、一から建築していく注文住宅のどちらがお得かは一概に判断することができません。
そのため、ここで紹介する3つの比較ポイントを押さえて検討するようにしましょう。
まず最初に紹介する比較ポイントはコストについてです。
通常は規格住宅である建売りの方がコストは抑えられるイメージが強い人も多いのではないでしょうか。
ここでは様々なコストが掛かる住宅購入の中で、一番大切な総購入金額という観点で両者を比較します。
【総購入金額比較】
・建売
既に建築済みで販売金額が明確なため、予算内で調整して購入しやすい
・注文
工事の追加発注やオプション追加などで、予算オーバーになる可能性がある。
一方で建築金額の幅があるため値引き交渉や、キッチンや浴槽、外装、断熱性能など部分的にスペックダウンする事で予算を削減も可能
分譲住宅などで大量に建築する建売りでは、建築材料のコストを抑えて建築するため、販売金額を安く出来るという特徴があります。
しかし、上述した通り注文住宅だからこその値引き交渉や、コストカットの工夫が出来る事もあり、必ずしも建売りの方が安くなるとは言い切れません。
この辺りは購入する住宅によって変動してくるので、しっかりと比較検討するようにしてください。
住宅の性能については、注文住宅の方に軍配が上がります。基本的に注文住宅の場合は自由設計のため、理想の間取りや部屋の広さ、建具、設備、断熱性、耐震性、省エネ性など希望通りに建築することが比較的容易になります。
上記でも少し触れた通り、建売り住宅では規格が決まっている状態で建築される物件がほとんどである点と、既に建築済みのものを購入することを考えると希望通りの性能を実現する事は、注文住宅より難しいです。
ただ、建売りだから性能が著しく低いというわけではないので、理想と許容できる部分を明確にして比較するようにしてください。
次にもし家を手放す事になったときの、リセール(売却)という観点から比較していきましょう。売却に関しては一概にどちらの方が圧倒的に有利とはいえませんが、建売り物件の方が比較的売却がしやすい傾向にあります。
その理由を簡単に紹介しますので参考にして下さい。
【建売りの方が売却しやすい理由】
・注文住宅と比較して購入時のコストが安いため、需要に合わせた金額で販売できる
・規格住宅である建売りは万人受けする作りになっており、注文住宅より汎用性が高い
・分譲住宅のようにそのエリアのニーズに合わせて建築されているため需要が高い
自分仕様にカスタムされた注文住宅よりも、多くの人向けに建築された建売りの方が売却しやすいのは当然のことといえます。
しかしこだわりの注文住宅であっても、そのこだわりが購入者のニーズに合えば高額で売却できる可能性もあるので、購入前に売却の事も考えた上で設計をすると良いでしょう。
比較ポイントの次は、建売り注文住宅のそれぞれのメリットデメリットを紹介しますので、違う視点で参考にしてください。
建売りの最大のメリットは、希望の物件を見つけてから実際に住めるまでの時間が短い(早い)という事にあります。
その理由としては、完成された建物と土地がセットになって販売されているので、住宅ローンを借りる際銀行の審査をスムーズに行う事が出来るからです。
住宅ローンさえ借りてしまえば、物件は完成しているのですぐに入居することが可能です。
また、完成した住宅を自分の目で確認してから購入することが出来るのも、購入後に自分のイメージと違ったといった理由でトラブルになるのを防げる点もメリットといえます。
建売りの最大のデメリットは、購入者のこだわりを住宅に反映させるのが難しい点にあります。
内装デザイン、設備、広さ、間取りが既に決まっている状態で購入する建売りではこだわりを反映させるのは容易ではありません。
軽微な工事や変更であれば、交渉次第で可能ですが、元々販売金額を安くしているため追加工事やオプションなどの利用は、料金が比較的高くなってしまいます。購入コストが安価というメリットがある反面、こういった自由が利かないというデメリットも存在しています。
注文住宅の最大のメリットとして挙げられるのが、希望通りの家に住めるという点です。
上述したように、土地、間取り、広さ、性能、内装、外装など全て購入者の意志を基に設計建築される注文住宅では、理想のこだわりの家を実現しやすくなっています。
そのため、家族を含めたライフプランの変化の中で発生する、将来のリフォームなどを想定して、事前に設計する事も可能です。
将来の事も考えながら、家族に最適な住宅を建てられるという点が注文住宅の大きなメリットといえます。
最後に注文住宅の最大のデメリットを紹介すると、完成するまで実物を確認することが出来ない点にあります。CGパースなどを利用して、事前にシミュレーションを確認することは可能ですが、工事中のトラブルや完成後にイメージと違ったという事が、発生する可能性もあります。
また、購入者の希望が途中で変更したり様々な理由で追加工事などが増え、予算をオーバーしてしまうという事も珍しくありません。
建売のメリットで伝えた、住宅ローンの審査も最初の段階では実物が完成していないため、比較的時間が掛かってしまうというデメリットも存在します。
マイホーム購入は一生で一番大きな買い物です。そのため、どういった住宅を購入すべきは容易に判断することは出来ません。これまで説明した通り、金額重視なのか理想重視なのかでも、建売り注文住宅どちらが将来的にお得になるのかは、しっかりとした検討が必要です。ぜひ今回紹介した内容を参考に、後悔しないようじっくりと比較検討をしてください。自分自身で選択する自信が無い人は、住まいとお金のプロであるファイナンシャルプランナーへの相談をおすすめします。
小峰一真(こみねかずま)
2級FP技能士/証券外務員2種/住宅ローンアドバイザー| 明治大学政治経済学部卒業
大手国内証券会社、外資系保険会社を経て、前職では独立系FP事務所に創業から携わっていました。資金計画作成、住宅購入相談、資産運用、保険相談など全般的に得意で、セミナー講師も担当しています。趣味はゴルフと読書、スポーツ観戦(横浜Fマリノス、明治大学ラグビー部を応援!)です。