理想のライフプランを実現するため、住居は賃貸か住宅購入どちらがお得かを知りたい人も多いはずです。この判断の難しい所は、年齢やエリア、家族構成、人生設計によって一概に答えが出ない点にあります。しかし、両者の比較ポイントを知り計画を立てれば、自分自身に合った最適解を見つける事も可能です。今回は賃貸と住宅購入どちらがお得かを、ファイナンシャルプランナーが徹底解説しますので参考にして下さい。
賃貸と住宅購入どちらがお得かは、基準となる比較ポイントを押さえる事が先決です。ここでは大切な項目を抜粋してお伝えしていきます。
この比較ポイントを基に、自分と家族のライフプランに落とし込むことで独自の判断基準が出来ますので、確認してみましょう。
まずは、居住し続ける事で掛かってくるコスト面を比較します。コスト面を比較する場合、住宅購入に掛かる初期費用、住宅ローン支払い額、ランニングコスト(修繕費を含む総額)、などを考慮しなければいけません。ここでは、賃貸と住宅購入で50年間に掛かる費用を簡単な項目で比較していきますので参考にしてください。
【賃貸VS住宅購入コスト比較】
※条件は以下の通りで比較
・賃貸:10万円/月
・住宅購入:3000万円(頭金300万円+住宅ローン固定金利1.4%/期間35年)
・居住期間:50年
◆賃貸(10万円/月)
①初期費用:40万円(賃料の4か月分)
②50年間総賃貸料:6000万円(50年×12か月×10万円)
③2年毎の契約更新料:240万円(24回×10万円)
〇総支払額:6280万円
◆住宅購入
①初期費用:510万円(頭金+諸費用)
②住宅ローン総支払額:3410万円
③想定される修繕費:540万円
④固定資産税+都市計画税:390万円
〇総支払額:4850万円
この比較では、住宅購入の方がお得に見えますが実際は住む場所、住宅購入の年齢、細かい試算方法で金額は大きく変わってきます。
そのため、自身の現状を把握した上で上述したようなポイントで、コストを比較することが大切ですので、参考にしてください。
住宅の性能も重要な比較ポイントの1つです。性能に関しては目で見える部分だけではなく、生活をする際の住みやすさなどを考慮して比較することがおすすめです。長年住む家ですので、性能は金額では測れない大切なポイントになります。
例えば賃貸では、必ずしも自分の条件に合った間取りや広さを実現できる訳ではありませんし、理想に合わせたリフォームなども容易には行えません。この点に関しては、住宅購入であれば自由が効きます。
また、住宅購入の方が比較的耐震性や遮熱性などに優れた住宅を自由に設計できるというメリットもあるでしょう。
住宅に求める快適さと、許容できる範囲を考える事が重要ですので、参考にしてください。
最後の比較ポイントとして紹介するのがライフプランの変化です。子供が増える事や、老後の生活を考えた上で賃貸と住宅購入、どちらが無理なく生活できるかを考えてみましょう。
例えば、子供数を増やしたいと考えるとその分、教育費が増えます。その負担額を考慮した上で、家賃と住宅ローンを比較してどちらが無理のない生活が出来るかを判断しなければいけません。
また、住宅ローンを払いきった状態で老後を迎えるのかどうかも、ライフプランを考えた場合では大切になります。退職後に住宅ローンを払い切る事が出来なければ、当然賃貸の方が負担が減ります。一方で生涯賃貸で生活する場合は、退職前に賃料を含めた経済的なライフプランを考え貯蓄する必要があります。
この他にも経済的な負担の変化を余儀なくされるライフイベントを、今の年齢から逆算して考える事が大切です。
次の章ではここまで紹介した、比較ポイントを踏まえた上での賃貸と住宅購入のメリットデメリットを紹介しますので、参考にしてください。
まず、賃貸の最大のメリットは生活拠点、生活スタイルを柔軟に変えられる点にあります。
万が一収入が張るなどライフスタイルの変更を余儀なくされた場合でも、今より家賃が安い場所に引っ越すことも可能です。また、建物の修繕や、固定資産税の支払いはオーナーの負担となるため、必要以上の手間やコストが掛かりません。
住宅ローンの支払いという、精神的プレッシャーから解放される点も大きなメリットと考えられるでしょう。
賃貸の最大のデメリットは、生涯賃料が発生する事です。当然ながら、賃貸物件の場合いくら家賃を払い続けても家が自分の資産になる事はありません。そのため、収入が減ってしまう老後などでは、賃料の観点から住むことが出来る家に限りが出てくるといったデメリットも考えられます。また、上述したように、部屋の広さや間取りなど自分の好みに合わせたリフォーム等が難しく、理想の住空間を作るのが難しいという点もデメリットです。
住宅ローン完済後の、生活に掛かる支出が大幅に少なくなるという点が住宅購入の最大のメリットです。固定資産税や突発的な修繕費は必要になりますが、居住に掛かる毎月の支払額の少なさは、老後に大きな安心感を生み出します。また、住宅ローンを完済すれば、持ち家は資産となるため、売却や賃貸に出すなどの経済的な選択肢を持つことも可能です。他にも、賃貸にはないリフォームの自由度や、間取りや広さなど生活の快適さもコスト面では測れないメリットも大きいでしょう。
住宅購入の大きなデメリットとして考えられるのが、一度購入すると容易に生活拠点を変える事が出来ないという点です。
賃貸と比較して、収入の減少や、転勤などのライフプランの変化に柔軟に対応することは容易ではないでしょう。
また、住宅には修繕費が必ず必要になる点や固定資産税など、住宅ローン以外にもコストが必要になる事も忘れてはいけません。
ここまで紹介してきた通り、賃貸か住宅購入どちらがお得かを判断するためには、それぞれの比較ポイントを押さえ、メリットデメリットを知った上で判断する必要があります。
繰り返しになりますが、その人自身のライフプラン、年齢、収入、家族構成などによってどちらがお得かの最適解は変ってくるので、今回紹介したポイントを参考にしてみてください。
もし、自分で判断することが難しい場合は、お金の住まいに詳しいファイナンシャルプランナーに相談する事をおすすめします。
小峰一真(こみねかずま)
2級FP技能士/証券外務員2種/住宅ローンアドバイザー| 明治大学政治経済学部卒業
大手国内証券会社、外資系保険会社を経て、前職では独立系FP事務所に創業から携わっていました。資金計画作成、住宅購入相談、資産運用、保険相談など全般的に得意で、セミナー講師も担当しています。趣味はゴルフと読書、スポーツ観戦(横浜Fマリノス、明治大学ラグビー部を応援!)です。