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もしもの時に残された家族を守る生命保険。保険金はいくら必要?

小峰 一真
  • マネー

自分にもしもの事があった時、残された家族をどうやって守るのか不安がある人も多いはずです。その中でも、とりわけ大きな不安は残された家族の生活資金ではないでしょうか。もちろん、不安なポイントはそこだけではないはずですが、万が一の時にせめて生活に不自由しないくらいのお金だけは残したいですよね。今回は、もしもの時に残された家族を守ってくれる生命保険で、必要な保険金を算出する方法を紹介します。

生命保険は必要ですか?

生命保険が必要かどうかは、家族構成や貯蓄、保有資産などの状況によって変わってきます。

単身者で、自分以外の生活資金を捻出する必要が無い人であれば、自分が亡くなったときのお葬式代程度の貯蓄があれば生命保険は必要ないかもしれません。

しかし、家族がいるケースの場合は、もしもの時に備えて生命保険への加入は要検討事項でしょう。

ここで言う「もしもの時」というのは「死亡(高度障害状態に該当)」する場合の事を指し、働くことが出来ず自分の収入がない状態になります。

例えば、次のような家族構成で夫が亡くなった場合を考えてみましょう。

【家族構成】
〇夫(35歳) 妻(30歳) 子供(6歳) 子供(4歳)

遺族が必要とする生活資金は「一番下の子供が22歳(大学卒業)もしくは、妻が65歳(年金受給年齢)」までの期間で必要になる金額(生活資金・ライフイベントを含む)で考える事が一般的です。

具体的な数字に関しては次の章で紹介しますが、おそらく現時点での貯蓄と保有資産だけで十分な生活資金を用意しておくことは難しいと感じる人が多いのではないでしょうか。

あくまで上記は例ですが、もしもの時に備えて事前に生命保険に入って準備しておいた方が、確実に残された家族の生活資金を確保することが可能になります。

必要補償額を考えてみよう

正しく生命保険に加入するためには、必要補償額がいくらかを知っておく必要があります。

必要補償額とは、遺族が安心して生活するためには「どれくらいの保障が必要になるか」という事です。

この金額は家族構成や貯蓄・資産状況・収入など、その被保険者の状態によって変ってきます。

この章では、必要保障額を考える方法を二つ紹介しますので参考にしてください。

もしもがなかった場合から考える

いきなりいくらの保険金が必要かを考えるのは少し大変な作業となりますのでまず、「もしもの時が無かった場合」に、現在から未来までいくらのお金が必要かを考えてみましょう。

分かりやすく、上述したモデルケース(家族構成)を用いて考えてみます。

【家族構成】
※世帯年収は現在〜退職するまで変更のないものとする。

〇夫(35歳)→年収450万円(手取り:360万円) 自営業
〇妻(30歳)→年収200万円(手取り:170万円) 契約社員
〇子①(6歳)
〇子②(4歳)
◆世帯年収→650万円(手取り:530万円)
◆年間の生活費→480万円(40万円/月)※家賃・食費・その他生活費
◆現在の貯蓄500万円
◆年間貯金額→50万円

【子供の教育費用】
※小学校・中学は公立、高校・大学は私立と公立合わせて平均費用で計算。大学卒業までの費用算出。

◆小学校316万円
〇学費:192万円
〇補助学習費:124万円
◆中学校→217万円
〇学費:146万円
〇補助学習費:71万円
◆高校→262万円
〇学費:213万円
〇補助学習費:49万円
◆大学→294万円
◆一人当たり合計→1,089万円
◆子供二人当たり→2,178万円

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【子②が大学卒業までに必要となる収支合計】
※子②4歳~22歳までの18年間と仮定
◆支出
〇年間の生活費480万円×18年間→8,640万円
〇子供の教育費用→2,178万円
〇合計→10,818万円

◆収入
〇世帯収入530万×18年間→9,540万円
〇現在貯蓄→500万円
〇年間貯金額50万円×18年間→900万円
〇合計→10,940万円

◆収支合計:122万円

ざっくりした計算になりますが、もしもの事が起らず一定の収入を得る事が出来れば上記モデルケースの場合収支は僅か122万円プラスで決して余裕があるとは言えません。

また一方で、もしもの事があった場合はその時点から夫の収入(360万円/年)が無くなるという事ですのでどれくらい生活が苦しくなるかは想像がつくでしょう。

タイミング次第で金額は変りますが、最悪の場合は支出の10,818万円全額が夫の収入以外で必要になるかもしれません。

このようにまず、もしもの事が起らない場合を考えた上で必要な生活資金を考えて、全体像を把握するようにしてください。

残された家族の収入を考える

次に、上記を踏まえて「もしもの事があった場合」から必要補償額を考えてみましょう。
この場合、事前に把握しておく必要があるのは、残された家族の収入を考える事です。

通常、残された家族に考えられる収入源は次の通りです。

【残された家族の収入源】

◆遺族年金→子供が18歳になるまで国から支給される。
※国民年金被保険者が亡くなった場合は「遺族基礎年金」、厚生年金加入者が亡くなった場合は「遺族厚生年金」が対象となりそれぞれ受給金額が異なる
◆妻の収入→上記の場合契約社員で年間200万円
◆貯金→上記の場合500万円+50万円×夫の収入が亡くなるまでの年数
※死亡退職金→勤め先によっては支給される事があるが、今回は計算から省く

この収入を加味して不足してしまう金額が、生命保険の必要保障額となります。
ここでは、上記モデルケースで現在から2年後に夫(37歳)が亡くなってしまい、収入が0になると仮定して必要保障額を割り出しますので参考ください。

【2年後に夫にもしもの事があった場合】
◆支出
〇年間の生活費336万円×16年間→5,376万円
※夫の生活費(全体の30%)が必要なくなるため、年間480万円×70%→336万円にて計算
〇子供の教育費用→2,114万円
※子①が小学校を既に2学年経過。小学校教育1年間で必要な費用は平均32万円のため、総額から32万円×2年分を差し引く
〇合計→7,490万円
◆収入
〇妻の手取り年収170万×16年間→2,720万円
〇遺族基礎年金①→1,230万円(子①8歳~18歳・子②4歳~16歳までの10年間)
〇遺族基礎年金②→200万円(子②16歳~18歳までの2年間)
※遺族基礎年金は18歳まで、子供2人の期間は約123万円/年・子供1人の期間は約100万円/年支給される。
※会社員や公務員の場合受け取れる遺族厚生年金は、被保険者の加入年収や年数によって変動する。
〇貯金→600万円
〇合計→4,750万円

◆必要保障額
〇支出-収入→2,740万円
※計算をシンプルにするために、生活費と支出を期間中一定とし、子②が大学卒業後に妻が年金を受給するまでの生活費を省いて計算しています。

このように、残された家族の収入と支出の合計から算出される差額分を必要保障額として考えてください。

過剰な保険は不要

必要保障額は、家族構成や収入・ライフイベント・もしもの時が来るタイミングによって幅広く変化します。

残された家族の事を考えて、必要以上に保険に掛けたくなる気持ちもあるかもしれませんが、必要保障額を計算した上で保険に加入するようにしてください。

参考までに、全体の平均生命保険料と保険金を紹介しますので一つの目安としてください。

【生命保険】
〇一世帯当たり年間平均保険料→38.2万円/年
〇世帯主に掛けられる死亡保険金額→1,406万円

生命保険の保険料の平均相場はいくら?【年齢・ライフステージ別】 | 保険のぜんぶマガジン|保険相談・見直しのきっかけに。 (hoken-all.co.jp)

必要保障額と平均金額を参考にして、過剰な保険に加入しないよう注意しましょう。

まとめ

この記事では、残された家族の生活を守るために必要な保険金(必要保障額)を中心に紹介してきました。今回はシンプルなモデルケースで紹介しましたが、人によっては住宅ローンや子供の数が多いなど状況が違う事もあるはずです。基本的には上記モデルケースを参考に算出できますが、自信が無い人はお金と人生のアドバイザーであるファイナンシャルプランナーにご相談ください。

小峰一真(こみねかずま)

2級FP技能士/証券外務員2種/住宅ローンアドバイザー| 明治大学政治経済学部卒業

大手国内証券会社、外資系保険会社を経て、前職では独立系FP事務所に創業から携わっていました。資金計画作成、住宅購入相談、資産運用、保険相談など全般的に得意で、セミナー講師も担当しています。趣味はゴルフと読書、スポーツ観戦(横浜Fマリノス、明治大学ラグビー部を応援!)です。

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