「ねんきん定期便」が届いたらチェックする3つのポイント | ファイナンシャルプランナー相談はマネープランナーズ

「ねんきん定期便」が届いたらチェックする3つのポイント

小峰 一真
  • マネー

毎年、誕生日月に届く「ねんきん定期便」をご存じでしょうか。「ねんきん定期便」に対する関心度は、受け取る年齢によって違うかもしれませんが、何歳であっても老後資金を考える上で大切な情報源になる事は間違いありません。一方でただ漠然と届いたはがきの数字を眺めていても、内容が分からない人も多くいるはずです。今回の記事では「年金定期便」が届いたらチェックする3つのポイントを紹介します。

「ねんきん定期便」とは?

「年に一度誕生日月に年金制度加入者に届く、年金記録のお知らせ」がねんきん定期便です。

国民年金や厚生年金に加入している全ての人に対して、年金給付や保険料負担について理解を深めてもらう事を目的として日本年金機構が発行しています。

年金受給開始が数十年先の、比較的関心の薄い若い世代にとっては老後資金を考える良い機会と言え、年金受給開始が近づいてる世代にとっては、老後の生活設計を明確にイメージするための重要な情報源と言えるでしょう。

「ねんきん定期便」は通常、ハガキで届きますが節目年とされる35歳、45歳、59歳には封書で届くようになっています。

(参照)
target=”_blank”>「ねんきん定期便」とは何ですか。|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

「ねんきん定期便」に記載されていること

ねんきん定期便に記載されている内容は、節目年を含めて次の3つの種類に分類する事ができます。

◆ねんきん定期便記載内容
①50歳未満の通常年(ハガキ)
直近1年間の納付実績と加入実績に応じた年金額

②50歳以上の通常年(ハガキ)
直近1年間の納付実績と年金見込み額
※受給開始年齢による年金額の変化についても記載

③35歳、45歳、59歳、節目年(封書)
全期間の年金記録情報(納付実績)と加入実績に応じた年金額
※59歳では年金見込み額が記載されている

このように、国民年金・厚生年金への年金保険料納付状況やそれに基づいた年金見込額が、ねんきん定期便には記載されています。

特に、③に記載されている内容は全期間の内容になりますので必ず確認するようにしてください。

また、50歳以上のねんきん定期便も老後資金を考える上で欠かせない情報が記載されているという事も忘れてはいけません。

それでは、次の章から具体的なチェックポイントを紹介していくので確認してください。

チェックポイント①国民年金の納付状況

ねんきん定期便を確認すると、オモテ面の「最近の月別状況です」という表の中の国民年金の納付状況の欄に「第1号・第3号」という記載があります。

この「第1号・第3号」の意味を抑えるために、まず2階建構造で成り立つ公的年金の仕組みと被保険者の呼び方の違いについて説明していきます。

【公的年金の仕組み】
公的年金は、1階部分の全ての人が加入する「国民年金」と2階部分の会社員や公務員の人が加入する「厚生年金」の2階建て構造で成り立っています。
※会社員や公務員の人は「国民年金」「厚生年金」どちらにも加入している

公的年金の被保険者となる人は、それぞれの状況に応じて次の3種類に分類されます。

【被保険者の呼称】
①第1号被保険者:20歳以上60歳未満の農業者、営業者、学生、無職の人
②第2号被保険者:会社員や公務員の人
③第3号被保険者:第2号保険者に扶養されている年収130万円未満の20歳以上60歳未満の配偶者

このように、ねんきん定期便の「第1号・第3号」は国民年金に加入している、①③の被保険者の事を指しているのです。

ねんきん定期便が届いたら、「第1号・第3号」に該当する人は国民年金の納付状況を確認しましょう。

全ての人の保険料が同額であるため、国民年金の毎月の納状況は「納付済」や「未納」といった表示で記載されます。※「納付済」「未納」以外にも、納付状況を表す「表示」は数多くあるので、参照URLを確認してください。
(参照)
target=”_blank”>「ねんきん定期便」とは何ですか。|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

公的なシステムで漏れや誤りがないと思われがちですが、過去記録漏れによる問題が発生した事もあり確実とは言い切れません。

当然「未納」の期間があると、将来受け取る事が出来る年金額が減ってしまうため、誤りに気付いたらすぐに訂正する必要があります

もし、確認して漏れや誤りがあると思った方は近くの年金事務所までお問い合わせをするようにしてください。

チェックポイント②年金保険料の累計納付状況

毎月の納付状況の確認後は、国民年金・厚生年金の累計納付状況を確認するようにしましょう。

通常年、節目年どちらのねんきん定期便でも確認が可能で、ウラ面の「1、これまでの保険料納付額(累計額)」の表に、下記のような記載があるのでチェックしてください。

(1)国民年金保険料(第1号被保険者期間)
(2)厚生年金保険料(被保険者負担額)
・一般厚生年金期間
・公務員厚生年金期間
・私学共済厚生年金期間

確認方法はとてもシンプルで、(1)(2)に記載されている合計金額がこれまで、納付した年金保険料の累計金額です。

国民年金の場合は第1号被保険者期間の累計額ですが、厚生年金は加入している制度毎に分けて金額が記載されています。

また全加入者が同額の国民年金と違い、厚生年金の保険料は年収によって違いがあり、半分を会社が負担する仕組みになっている事も覚えておきましょう。

その仕組みを元に、会社の給与明細内の厚生年金保険料額と照らし合わせて確認することで支払額を正確にチェックできます。

チェックポイント③年金加入期間

全ての人に支給される老齢年金では、公的年金の受給資格期間が原則120ヶ月(10年)以上と決まっているため、年金加入期間も確認するようにしましょう。

受給資格期間とは、20歳以上60歳未満で学生納付特例など支払いの免除された期間を含めた、保険料を支払った期間の合計です。
これには、国民年金だけではなく厚生年金、共済年金の加入期間も含まれます。

ねんきん定期便では「2、これまでの年金加入期間」という表に、「国民年金(a)」「厚生年金保険(b)」「船員保険(c)」とそれぞれ加入月数が記載されています。

この加入月数の合算が、120ヶ月を超えていなければ老齢年金を受け取る事が出来ないため、確実に確認するようにしましょう

50代の方は受給時期も検討

50代に入ると徐々に年金受給開始の時期が近づいてくるため、具体的にどれくらいの年金が貰えるのか気になる人も多いはずです。

そのニーズに答えるように、50歳以上のねんきん定期便には、50歳から60歳まで保険料納付額に変動がないと仮定した場合の、65歳から受け取る年金の見込み額が表示されるようになります。

現在の年金制度は、受給開始時期を65歳~75歳まで繰り下げすることが可能で、1ヶ月先延ばしにする度に、受給額が0.7%UPする仕組みとなっており、10年間で最大84%(0.7%×12ヶ月×10年間)の受給額を増やすことが可能です。

受給額が増える繰り下げ制度を念頭においた上で、受給開始時期を検討するとより明確な老後の生活設計をイメージすることが可能となります。
明確なイメージが出来れば、その分資金対策としてiDecoやNISAといった資産運用も検討しやすくなるでしょう。

そういった意味でも受給開始時期をどうするかは、老後の資金対策として重要ですので50代のうちに検討するようにしてください。

まとめ

毎年何気なく確認していたねんきん定期便には、今回紹介したようにとても重要な情報が沢山記載されています。

老後資金の対策は、早ければ早いほど余裕をもった準備が出来るため、どの年齢の人でもしっかりとねんきん定期便は確認するようにしましょう。老後資金対策に関しては、年金を含めて資産運用なども有用な方法となりますので、気になる方は人生とお金の専門アドバイザーである、ファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。

この記事を執筆したカウンセラー紹介

小峰一真(こみねかずま)

2級FP技能士/証券外務員2種/住宅ローンアドバイザー| 明治大学政治経済学部卒業

大手国内証券会社、外資系保険会社を経て、前職では独立系FP事務所に創業から携わっていました。資金計画作成、住宅購入相談、資産運用、保険相談など全般的に得意で、セミナー講師も担当しています。趣味はゴルフと読書、スポーツ観戦(横浜Fマリノス、明治大学ラグビー部を応援!)です。

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