理想のマイホームは欲しいけど、現実的に自分の年収だといくらの住宅を購入できるのか。こんな事を考えたことがある人も多いはずです。マイホームは人生で一番高い買い物といわれるように、現金で購入することは難しく、住宅ローンを利用する必要があります。住宅ローンの融資額は、年収を基準に変ってくるのが一般的です。今回は予算5,000万円の住宅を購入するのに必要な年収はいくらかを、FPが解説します。
予算5000万円の住宅は現実的に考えて、高いのかそれとも安いのか気になる人も多いでしょう。
まずこの章では、全国・三大首都圏2つの観点から住宅購入金額の平均をお伝えしますので比較してください。
【購入金額平均】※建築費用・土地取得費用含む注文住宅
〇全国:4,606万円
〇三大首都圏:5,359万円
(参照)
令和2年度住宅動向調査報告書
このように、5,000万円の住宅は全国の購入金額平均から見ると少し高く、三大首都圏平均から見ると少し安くなっており、決して珍しい金額ではないという事が分かります。
5,000万円という金額だけを考えると、大金ですが住宅購入には金融機関から住宅ローン融資を受ける事が可能です。
住宅ローンの融資額は、借入を行う人の年収によって変ってきますので、これから紹介する内容を参考に、どうすれば予算5,000万円の住宅を購入できるのか参考にしてください。
上述した通り住宅の購入には、確実に数千万円のお金が必要になってきます。そのため、現金一括で購入する人は珍しく、多くの人は金融機関から住宅ローン融資を受けて購入するはずです。
住宅購入に当たっては住宅ローンをどれくらい借りるか?という事が大きなポイントになってきます。
例えば5,000万円の住宅購入を検討していて、金融機関に住宅ローンの申込をしたとしましょう。
この時に、仮に金融機関から上限5,000万円まで住宅ローン融資の許可が下りたとしたら、いくらまで借りる事が正解なのでしょうか。
これに関しては住宅ローンを利用する人の、年収や生活に掛かるコスト、ライフプランによって一概に答えは出せませんが、何も考えずに満額を借りる事は避けるようにしてください。
住宅ローンをいくらまで借りるかについて、考慮すべきポイントがいくつかあるため、それらを踏まえた上で決断することが重要になってきます。
住宅購入後の生活に大きく関わってくることですので、確実に検討するようにしてください。
次の章では住宅ローンの借入金額で考慮するべきポイントを紹介します。
住宅ローンを利用する場合は、借入を開始する年齢や家族構成を考慮する必要があります。
まずは年齢に関してです。一つの基準として定年退職を迎える65歳には完済できるかを考えてみましょう。一般的に住宅ローンの最長返済年数は35歳で完済時の年齢は80歳未満と決められている金融機関が多いです。定年退職後に住宅ローンが残っていると、年金や貯金、退職金から返済をする必要があり老後資金の減少に繋がります。そのため、65歳から逆算して無理なく返済できる借入額を考えなければなりません。
次に家族構成です。一つの基準として教育費やライフイベントに掛かる資金を貯蓄でき、毎月の生活を圧迫しない返済額を考えてください。2022年8月の総務省統計局のデータによると、2人以上の世帯の月の平均消費支出は29万円・収入は56万円となっています。一般的に住宅ローンの収入に対する返済比率は、手取り年収の20%〜25%が理想といわれています。生活を圧迫しない返済額に関して、この考えをベースとした上で子供の人数を踏まえた必要な教育費、ライフイベントに掛かるお金を考慮した返済額になるよういくら住宅ローンの借りるかを決めるようにしましょう。
(参照)
統計局ホームページ/家計調査報告 ―月・四半期・年― (stat.go.jp)
それでは最後に、予算5000万円の住宅を購入するための年収を、金融機関が基準としている年収倍率という考え方から紹介していきます。
年収倍率とは住宅を購入する場合、年収に対してどれくらいの物件価格が適正かを算出する方法です。一般的には年収の5倍〜6倍が購入する物件の適正価格と判断され、各金融機関での住宅ローンの融資可能額を決めています。
これをベースとして考えると、予算5,000万円の住宅を購入するのに必要な年収は、ズバリ833万円〜1,000万円です。
年収倍率の5倍〜6倍という幅はあくまで基準で、金融機関によっては8倍まで許容する事もあるので最低でも、年収625万円が必要となるでしょう。
一方で上述したように、月々の住宅ローンの支払いは手取り年収の20%〜25%が望ましいですが、それ以上であれば、生活を圧迫する返済額になりかねません。
住宅ローン5,000万円の借入に対する毎月の返済額は、15万円程度となるので以下の年収毎の手取り額を参考に、生活費と照らし合わせて考えてください。
※返済額に関しては、「35年返済」「ボーナス支払いなし」「固定金利1.4%」にて計算
(参照)
返済月額早見表 5000万円 – ローンシミュレーション (loansimulation.com)
【年収別データ】
※5,000万円を基準とした年収倍率5倍~8倍の年収にて毎月の手取り額を算出
〇年収1,000万円(年収倍率5倍)
手取り額:約60万円
〇年収833万円(年収倍率6倍)
手取り額:約51万円
〇年収714万円(年収倍率7倍)
手取り額:約44万円
〇年収625万円(年収倍率8倍)
手取り額:約40万円
(参照)
年収別 手取り金額 一覧 (年収100万円~年収1億円まで対応) | 千葉県船橋市、市川市、浦安市の税理士 西船橋駅徒歩2分の酒居会計事務所の税金ブログ (sakai-zeimu.jp)
手取りに対する割合だけ見ると、年収1000万円あれば安心して予算5000万円の住宅を購入出来る事が分かります。
ただ、年収に関しては夫婦の合算年収での考え方もできますし、生活費や教育費に関してもそれぞれ人によって違ってきますので、自分自身の状況と照らし合わせて物件購入については考えるようにしてください。
ここまで紹介してきた通り、予算5000万円の住宅を購入することは決して珍しい事ではありません。一方で、自身の年収やライフプランを基に住宅ローンの借り入れを検討する必要があります。
理想のマイホームを手に入れたはずが、毎月の支払いが大変で、満足した生活が送れないという事を避けるために、今回の記事でお伝えしたことを参考にしてください。自分自身で住宅ローンの適正な借入額を決められない人は、お金とライフプランのアドバイザーであるファイナンシャルプランナーに相談する事をおすすめします。
小峰一真(こみねかずま)
2級FP技能士/証券外務員2種/住宅ローンアドバイザー| 明治大学政治経済学部卒業
大手国内証券会社、外資系保険会社を経て、前職では独立系FP事務所に創業から携わっていました。資金計画作成、住宅購入相談、資産運用、保険相談など全般的に得意で、セミナー講師も担当しています。趣味はゴルフと読書、スポーツ観戦(横浜Fマリノス、明治大学ラグビー部を応援!)です。