30歳から毎月5万円の積立投資をして、65歳で5000万円貯めるのに必要な利回りは? | ファイナンシャルプランナー相談はマネープランナーズ

30歳から毎月5万円の積立投資をして、65歳で5000万円貯めるのに必要な利回りは?

小峰 一真
  • マネー

老後2,000万円問題などの影響もあり、若い年齢であっても老後資金について考え始める人が多くなりました。特に社会人生活が10年近くなり、生活とお金に余裕が出てくる30歳前後は老後資金について真剣に考え始める良い年齢でしょう。なぜなら資産運用は早いうちから行った方が、目標金額に達成しやすいからです。今回は30歳から毎月5万円の積立投資をして、65歳で5000万円貯めるのに必要な利回りを紹介します。

単利と複利の違いについて

まずは、35年間毎月5万円の積立投資で、5,000万円貯めるための仕組みについて触れていきます。

普通に考えた場合、35年間毎月5万円を貯金しても2,100万円(5万円×12か月×35年)にしかならず、目標の5,000万円までは2,900万円足りません。

この足りない2,900万円は、金融商品(積立投資)の運用から得られる「利息の力」を使う事で達成できます。

利息とは一般的に以下の通り「単利」と「複利」の二つの計算方法があるので、参考にしてください。

【単利と複利による利息の違い】
※共に元利合計は元本100万円を3年間年率5%で運用した場合にて計算
◆単利→当初の投資元本にのみ利息が発生する
①1年目→100万円×5%→5万円
②2年目→100万円×5%→5万円
③3年目→100万円×5%→5万円
〇3年間の元利合計→115万円

◆複利→一定期間ごとに利息を元本に組み込んだ上で利息が発生する
※1年毎に前年の利息が元本に組み込まれるものとする
①1年目→100万円×5%→5万円
②2年目→105万円×5%→5.25万円
③3年目→110.25万円×5%→5.512万円
〇3年間の元利合計→115.762万円

このように、利息の力を使う事で投資額以上のお金を作り出すことができます。

特に、運用益を再投資する形で元本を増やして、更に大きな運用益を生み出す複利効果を利用すれば、長期的な積立投資で最大限の元利を得る事ができるでしょう。

普通に貯金すると35年間で2,100万円しかたまらないお金を、5,000万円にするためには積立投資と相性の良い、この複利の力が必要不可欠です。

35年で5000万円貯めるには4.5%必要!

35年間で毎月5万円の積立投資を行って5,000万円を貯めるためには、複利効果を利用した上で、必要な利回りで運用しなければいけません。

利回りとは、投資金額に対して得られる運用益の割合の事を指します。

今回の場合だと、35年間毎月5万円(総額2,100万円)に対して2,900万円の運用益を生み出す利回りで運用しなければ5,000万円貯める事は出来ないという事です。

それでは、35年間毎月5万円積立投資を行った場合、何%以上の利回りで運用すれば5,000万円を貯める事が出来るのでしょうか。

その答えは、「4.5%」以上となります。

(参照)
資産運用シミュレーション : 金融庁 (fsa.go.jp)

もし、4.5%以上の利回りで35年間積立投資を行えば、毎月5万円の積立で5,000万円を達成できるという事です。

貯められる金融商品は?

35年間毎月5万円の積立投資で、5,000万円を貯めるためには4.5%以上の利回りで運用をする必要があるという事が分かりました。

4.5%の利回りを実現できる金融商品は沢山ありますが、長期的な積立投資を行うのであれば、なるべく低リスクで確実に、貯蓄を増やしていけるものが良いでしょう。

この章では、投資初心者でも投資がしやすく比較的低リスクの金融商品の種類について紹介しますので、この中から利回り4.5%を狙える金融商品を選択してください。

投資信託

投資信託とはファンドと呼ばれる投資手法で、多くの投資家から集めたお金を、投資の専門家が株式や債券などに投資し、そこから得た運用益をそれぞれの投資額に応じて分配する方法になります。

投資信託は投資した元本が保障されている訳ではありませんが、専門家が選ぶ金融商品で運用できるという点がメリットの一つです。

私たちが購入できる金融商品の数は莫大で、初心者がそのなかから運用益を確実に確保できる商品を見つける事は容易ではありません。

投資信託では一つの金融商品だけでなく、複数の金融商品をひとまとめに運用するため、分散投資でリスク分散を図る事も出来ます。

投資信託毎に設定されている、投資方針を確認した上で長期的な積立投資に適した商品を選ぶことが出来れば、確実にお金を増やしていけるはずです。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは個人型確定拠出年金と呼ばれる投資手法で、加入者自身が決めた金額を毎月積立運用し,原則60歳以降に運用益を含めた掛金を一括または分割で、個人年金として受け取る事が出来る制度になります。

iDeCoの最大のメリットは、運用益と掛金が非課税になる事です。

通常の株式投資では、運用益に対して20%程度の税金が掛かりますので、同じ商品をiDeCoで運用すれば、掛金+運用益が非課税になるため手元に残るお金は確実に多くなります。

iDeCoで購入できる商品の中には、上述した投資信託も数多くあるので、普通に投資信託で長期投資を行うより、効率的にお金を貯める事が可能です。

一方、個人で年金を作る事を目的として作られたiDeCoでは、職業毎に毎月の積立金額に上限がある事に注意しましょう。

一般的に厚生年金の受け取りがない自営業者が最大の上限額6万8,000円を、毎月積立る事が出来るようになっています。
次に上限額が大きいのが専業主婦で2万3,000円、その次が会社員、公務員と続きます。(会社員は企業年金の有無などによって上限額が変動)

自分自身の職業や状況と照らし合わせながら、効率よくiDeCoを利用するようにしましょう。

つみたてNISA・NISA

最後に紹介するつみたてNISA・NISAは、国が国民の投資を後押しする目的で作った少額投資非課税制度で、運用益に対して非課税枠が設定されています。

【NISAの種類】

①つみたてNISA
◆年間投資額:40万円
◆非課税運用期間:20年間
◆取扱い商品:金融庁が選定した長期積立・分散投資に適した商品のみ

②一般NISA
◆年間投資額:120万円
◆非課税運用期間:5年間
◆取扱い商品:上場株式・投資信託など一般的な金融投資商品

利用はどちらか一つのみしかできませんが、どちらも非課税枠があるという点で投資初心者にとって低リスクで始めやすい投資手法となっています。

長期的に低リスクな運用を狙うのであれば、金融庁が商品を選別しているつみたてNISAの方が、おすすめです。

まとめ

ここまで紹介してきたように、利回り4.5%の金融商品で積立投資を35年間行うことが出来れば、毎月5万円の投資で5,000万円を貯める事は可能です。
逆に考えると、30歳から65歳までに毎月5万円の投資で、5,000万円を貯める為には長期的に複利の力を使った積立投資を行う事が必須になります。
自分自身で金融商品を購入することは可能ですが、自信が無い人は投資とお金のアドバイザーであるファイナンシャルプランナーに相談する事をおすすめします。

この記事を執筆したカウンセラー紹介

小峰一真(こみねかずま)

2級FP技能士/証券外務員2種/住宅ローンアドバイザー| 明治大学政治経済学部卒業

大手国内証券会社、外資系保険会社を経て、前職では独立系FP事務所に創業から携わっていました。資金計画作成、住宅購入相談、資産運用、保険相談など全般的に得意で、セミナー講師も担当しています。趣味はゴルフと読書、スポーツ観戦(横浜Fマリノス、明治大学ラグビー部を応援!)です。

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