2022年、「iDeCo」制度変更のメリット・デメリットを解説します

小峰一真
  • マネー

皆さんが抱える老後資金問題を、解消してくれる手段として有効なのがiDeCo(個人型確定拠出年金)です。長寿命化が進む現代を生きる多くの日本人にとって、制度利用を検討する必要性が強くなっています。その背景を基に、2022年から段階的に利用しやすい制度へと法改正が行われる予定です。今回はiDeco制度変更に伴うメリット・デメリットを紹介していきますのでご確認ください。

2022年、「iDeCo」の制度が変わります

2022年4月・5月・10月で、段階的にiDeCoの制度が変更されます。今回のiDeCoの制度変更は公的年金の法改正による制度変更と同時に行われます。

段階的ではありますが、国(政府)が老後の資金問題を国民一人一人に委ねようとしている事が読み取れます。今回発表されている制度変更は、皆さんの老後生活をより良いものにする重要なポイントが3つありますので、確認していきましょう。

「iDeCo」制度変更は3つ

iDeCo(個人型確定拠出年金)の2022年の制度変更は、次の3つです。

・受給開始時期の改定(2022年4月1日施行)
 制度変更ポイント:75歳まで受取開始時期の拡大

・加入年齢の拡大(2022年5月1日施行)
制度変更ポイント:65歳まで加入可

・企業型確定拠出念(企業DC)との併用加入条件緩和
 制度変更ポイント:企業DC加入者も加入しやすくなる

それでは、それぞれ詳しく説明していきます。

2022年4月1日施行:受給開始時期の選択肢の拡大

最初に制度変更になるのが「受給開始時期の選択肢の拡大」です。

・従来制度:原則60歳~70歳の間で受取開始時期を選択

・新制度:原則60歳~75歳の間で受取開始時期を選択(5年間分拡大)

メリット

この制度変更の最大のメリットは、運用期間を長くすることで利用者の受取金額を最大化できる点です。
iDeCoは自分で投資商品を選び運用し、増やしていく投資方法です。そのため、65歳を過ぎても生活資金に余裕がある場合や、株価が下がっている時期などに運用をやめるリスクを5年間の拡大時期で軽減できます。

また、通常の定期貯金や投資信託とは違い、iDeCoで運用している資金から得られる運用益は非課税となっているため、この5年間に税制対策の面からも受取金額を最大化できるのも大きなメリットです。

デメリット

一方受取開始時期が5年間延長される事で考えられる、デメリットもあります。

それは、20年間分割の受取金額を満額で受け取れない可能性があるという事。iDeCoの積立金の受け取りは、最短で5年最長で20年になります。仮に、期間を最大限延長して75歳から20年間分割で受け取る場合、満額受取の年齢は95歳です。

※日本人の平均寿命は女性で87.74歳、男性で81.64歳
日本人平均寿命 女性87.74歳 男性81.64歳 いずれも過去最長

平均寿命から考えると、男女ともに75歳から受け取りを開始しても、満額を受け取る事が難しいと判断できます。

2022年5月1日施行:加入可能年齢の拡大

次に変更されるのが「加入年齢の拡大」です。

・従来制度:60歳までしか加入できない

・新制度:65歳まで加入可能(加入時期を最大5年間拡大)

メリット

この制度変更の最大のメリットは、60歳を過ぎてからも老後の備えとしてiDeCoに加入出来る点です。iDeCoでは、加入から10年経過しなければ積立金を受け取る事が出来ません。

現状では、60歳を過ぎても再雇用などをして収入を得ている人が増えています。そういった人にとっては、ご自身の退職時期から逆算して加入時期を考える幅が増えるため、老後資金の蓄えに対する選択肢が増えます。

デメリット

一方でこの制度変更のデメリットとして挙げられるのが、全ての人に適応される訳ではない点です。

今回の対象者として定められているのは「国民年金の被保険者」のみ。そのため、自営業・フリーランス・専業主婦など60歳になると同時に国民年金の被保険者で無くなる人は対象外です。

一方で、こういった人たち向けに、60歳以降も国民年金に加入できる「任意加入制度」というものが存在します。この制度を利用することで、あなたが対象外の属性だとしても65歳以降もiDeCoに加入することは可能です。

2022年10月1日施行:企業型確定拠出年金加入者のiDeCo加入の条件緩和

最後に紹介する制度の変更点は「企業型確定拠出年金加入者のiDeCo加入の条件緩和」です。

・従来制度:企業型確定拠出年金加入者はiDeCo加入がほぼ不可能

・新制度:企業型確定拠出年金との併加入条件が緩和

メリット

この制度変更の最大のメリットは、企業型確定拠出年金の他に老後の資産を蓄える私的な資産運用が出来るという点です。これまで、企業型確定拠出年金の加入者には、労使関係の観点から、iDeCoへの加入が原則禁止とされている事が、ほとんどでした。

しかし、今回の法改正によりその条件が緩和され自分の意志でiDeCoに加入出来るようになります。そのため、企業が用意した投資商品以外の運用商品を選択できるようになり、あなた自身の手で資産運用による「利益の最大化」を測る事が出来るようになるのです。

デメリット

一方でこの制度のデメリットとして挙げられるのが、「企業型確定拠出年金+マッチング確定拠出年金」を利用している人は、iDeCoへの併加入ができないという事。マッチング確定拠出年金とは、企業が運用している商品ラインナップ内で、加入者本人が掛金を上乗せする制度です。

この制度も通常の確定拠出型年金と同様に60歳まで解約できないため、iDeCoに加入することが出来ません。また、まだ未加入であっても、iDeCoとどちらに加入するかの選択を迫られる事になります。

まとめ

iDeCoは皆さんの老後資金の不安を、取り除いてくれる優れた制度であることは間違いありません。更に、今回の法改正による制度変更でより利用しやすくなりました。

一方で、積立や投資に対する不信感や不安感と言ったマイナスな感情は、老後資金に不安を抱える人ほど大きい事も事実です。そういった、マイナスな感情を軽減して豊かで安心できる老後生活へ一歩踏み出す為には、資産運用のプロに相談することがおすすめです。

資産運用のプロであるファイナンシャルプランナーであれば、あなたの「年齢」「ライフプラン」「現状」から的確に運用できる方法を導き出します。もし、ご自身の判断では難しい・自信がないと感じる場合は、一度ファイナンシャルプランナーに相談してみましょう。

この記事を執筆したカウンセラー紹介

小峰一真(こみねかずま)

2級FP技能士/証券外務員2種/住宅ローンアドバイザー| 明治大学政治経済学部卒業

大手国内証券会社、外資系保険会社を経て、前職では独立系FP事務所に創業から携わっていました。資金計画作成、住宅購入相談、資産運用、保険相談など全般的に得意で、セミナー講師も担当しています。趣味はゴルフと読書、スポーツ観戦(横浜Fマリノス、明治大学ラグビー部を応援!)です。

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