債券とは?初心者でも5分で理解できる3つのポイントを詳しく解説します | ファイナンシャルプランナー相談はマネープランナーズ

債券とは?初心者でも5分で理解できる3つのポイントを詳しく解説します

倉知洋平
  • マネー
  • 資産運用

物価高が家計に与える影響が大きくなり、年金受け取りの不安が大きくなる昨今、将来のお金を資産運用で備え始める人が増えてきました。特に社会人として中堅で、収入も安定している30代中盤の人の資産運用への注目度は高いです。一方で、種類が沢山ある資産運用で何が自分にあっているか迷いますよね。今回は低リスクで初心者でも始めやすい「債券とはなにか」についてします。

債券とは?

債券とは国・地方公共団体・法人などが資金を借り入れるために返済日や利子の条件を明確にした有価証券の事を指します。

資産運用の観点から説明すると「投資家(個人)」が国・地方公共団体、法人などに対して「お金を貸す」代わりに利子を受け取る事ができる金融商品が「債券」です。

債券には初心者にもおすすめできる、次の3つの特徴があります。

①償還日には元本が償還される
予め償還日(借りたお金の返済日)が設定されているため、満期保有する事で元本が全額戻ってくる

②保有期間中の利息
保有期間中は定期的に予め設定された金利に基づいた利息が支払われます。

③売却時の価格リスクが小さい
債券の金利は市中金利の影響により決定され、売却時の価格は相対取引となるため売り手と買い手の需給バランスによって決まります。

一方で、株式投資の株価(売却時の価格)は企業の業績や需給バランス、更に1株あたりの収益率、市場の動きなど大きく影響を及ぼす要素が数多く存在します。そのため株式投資と比較すると売却価格に影響を及ぼす要素が少ない分、債券の価格リスクは小さいです。

※債券と債権の違い
投資初心者の人の中には、債券と同じ発音をする「債権」を混同してしまう人もいますが、意味合いが全く違うので注意しましょう。

「債権」とは、財産権の1つで特定の者(債権者)が、特定の者(債務者)に対して一定の行為(給付)を請求できる権利の事を言います。

つまり、債券を保有している投資家(個人)が、その債権の発行体(国・地方自治体・法人など)に対して、貸したお金(債務)を回収する権利の事を「債権」と言います。

一方で債権回収はいつでも行使できる権利ではなく、あくまで発行体が債券に基づいた期限通りに返済を行わない場合に発生するという事に注意してください。

債券を理解するために押さえるべき3つのポイント

債券を理解するためには、上記の概要を踏まえて更に重要なポイントを押さえる必要があります。

この章では「債券の正しい意味」「誰に対してお金を貸すのか」「安全性の確認方法」の3つの重要なポイントを解説しますので参考ください。

債券はお金を貸す側の権利書である

債券は発行体が、資金を借り入れるために発行する借用書を有価証券の形にしたものです。
この有価証券(借用書)には、貸し主(投資家)から資金を借りる条件として次の二つが設定されています。

①借りている間にいくらの利息を定期的に払うか
②借りたお金をいつ満額返済(償還)するか

つまり「資金を貸す側である投資家」にとっての債券は、この二つの条件(記された金額)を受け取る権利書になるということです。

貸す側は国・地方公共団体・会社などである

債券を発行するのは国や地方公共団体・会社などが一般的で、購入するのは銀行や証券会社などの機関投資家が多いですが、個人投資家も決して珍しくありません。

債券とは端的に借金の事ですので、つまり個人が国・地方公共団体・会社など大きな相手にお金を貸すことが出来るという事です。

債券は金融商品で100%安全ではありませんが、大きな相手に対してお金を貸す為、比較的安心して行える投資と言えるでしょう。

投資家にとっては「満期までの期間」「保有期間中の利子率」など条件に加えて、発行体の信用度も、どの債券に投資するかの大きな判断材料となります。

また債券の満期までの期間は「1年・5年・10年」など種類があり、自分の運用目的に合わせて期間を選択し安定的に運用する投資家が多いです。

安全性は格付けでチェック出来る

債券には元利金支払の確実性を第三者の格付け会社が評価し、複数ランク付けした指標となる「格付け」というものがあります。

多くの投資家にとって、どの債券に投資をするかの重要な目安となるので押さえておきましょう。

一般的に「格付けの高い債券ほど、利回りは低く」「格付けの低い債券ほど、利回りは高く」なるようになっています。

なぜそうなるかは「投資家目線」と「発行体目線」の両視点で考えると分かりやすいので、以下を参考にしてください。

◆格付け(安全性)が高い発行体
・投資家目線
→貸したお金が返済される信用度が高いため投資しやすい
・発行体目線
→安全性でお金が集まるから、リターン(利回り)を大きくする必要がない

◆格付け(安全性)が低い発行体
・投資家目線
→貸したお金が返済される信用度が低いため投資しにくい
・発行体目線
→安全性でお金が集まらないから、リターン(利回り)を大きくする必要がある

投資初心者にとっても、客観的に判断できる指標がある事はとても心強いと言えます。
一方で、第三者である格付け会社が定めている指標であり、絶対正しいというものではありません。

投資する債券は自分自身で決める事を念頭に「格付け」を一つの判断材料として利用するようにしてください。

他の金融商品との違い

債券は資産運用を目的とした金融商品になります。
金融商品と聞くと株や投資信託などを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

金融商品という括りでは債券も株も投資信託も同じですが、その仕組みは全く違います。
この章では仕組みの違いを解説していきますので、参考ください。

株式投資・投資信託・債券の違い

この章では仕組みの違いを解説していきますので、参考ください。

【株式投資】
株式投資は会社の株式を購入することで、その会社の出資者である「株主」になり配当金などを受け取る金融商品です。配当金は会社の業績に応じて支払われます。また、配当金の大きさや需給バランスなど様々な要因で、株価(株式の価格)が上下します。

【投資信託】
投資信託とは一つの商品の中に複数の銘柄が組み合わさった金融商品です。複数の銘柄の中には株式や債券などがあり、投資家から集めたお金を専門家が運用を行い、成果に応じて利益を投資家に分配したり、分配せずに再投資をして複利効果での運用益を狙います。

それぞれ、債券との大きな違いを項目ごとにまとめたので以下を参考ください。

【大きな違い】

①保有期間中の利益
・株式→会社が予測している金額は事前に開示されるが、業績に応じて配当金が支払われるため、株式購入時には明確な金額は分からない

・投資信託→投資会社毎の運用方針に準じた運用で出た成果に応じて分配されるため、購入時に明確な金額がわからない。

・債券→購入時に定められた利息を定期的に受け取るため、最初から明確な金額が分かる

②リスクとリターン
・株式→会社の業績によって株価(株式の値段)が大きく上下するため、ハイリスク、ハイリターンになる傾向にある

・投資信託→様々な銘柄を組み合わせる分散投資となるためミドルリクス、ミドルリターンになる傾向にある

・債券→市中金利によって価格を決めているため、株式と比較すると価格の上下は小さい。また、満期保有で元本が返済されるためローリスク、ローリターンになる傾向にある

このように株式投資と債券には大きな違いがあり、投資をする目的によってどちらを選択するべきかは変ってきます。

債券はローリスク・ローリターン

債券は株式投資同様に、発行体が経営破綻するなど、債務不履行(デフォルト)のリスクがあります。

しかし、債券の発行体は比較的大きく安定しているところが多く、満期保有で元本が返済されるため株式投資より低リスクと言えます。

一方で、株などの金融商品と比較すると利回りが低くリターンが少ないという特徴もあります。

そのため、株と比較して大きな利益は見込めなくてもリスクを減らして確実に小さなリターンを取りに行く投資を目的とする人におすすめです。

まとめ

発行体への信用性がある点、満期保有で元本返済が返済される点、格付けで客観的に安全性を測れる点などを踏まえると、債券は比較的安全な投資商品です。

ローリスク、ローリターンを好む人にとってはおすすめの投資商品である反面、売買が盛んに行われていないというデメリットもあります。実際に債券を購入する際は、売買の状況についても注意しなければなりません。

詳しい内容を本格的に内容を知りたい方はぜひファイナンシャルプランナーへご相談ください。

この記事を執筆したカウンセラー紹介

小峰一真(こみねかずま)

2級FP技能士/証券外務員2種/住宅ローンアドバイザー| 明治大学政治経済学部卒業

大手国内証券会社、外資系保険会社を経て、前職では独立系FP事務所に創業から携わっていました。資金計画作成、住宅購入相談、資産運用、保険相談など全般的に得意で、セミナー講師も担当しています。趣味はゴルフと読書、スポーツ観戦(横浜Fマリノス、明治大学ラグビー部を応援!)です。

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