がん治療における三大療法の実情をファイナンシャルプランナーが解説 | ファイナンシャルプランナー相談はマネープランナーズ

がん治療における三大療法の実情をファイナンシャルプランナーが解説

山内壮
  • マネー

現在、日本人の2人に1人はがんになる時代です。昔は不治の病などと呼ばれておりましたが、現在では医療も発達し、多くの治療方法が選べるようになりました。しかし、どの治療方法を選択したら良いのか、実際の治療効果などを知らない方が多いのも現状です。この記事ではがんの治療方法や実情を分かりやすく解説していきます。
この記事を見れば、「三大療法」とはどのような治療内容なのか、費用がどれくらいかかるのかが分かります。

三大療法について

がんは誰もが罹患する身近な病気なので、多くの治療法が出てきました。その中でも「三大療法」と呼ばれる治療方法をほとんどの方が受けられます。

「三大療法」とは、手術療法・放射線治療・化学療法(抗がん剤治療)の3つのことを指します。がん治療の三本柱として確立されてきた治療方法です。
どのような治療法が良いのか、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

手術療法のメリット・デメリット

メリットはがんの塊が一気に取れることと、検査ではわからないごく小さな転移がなければ完治する可能性が高いことです。

デメリットは体にメスを入れる為、傷の治癒や全身の回復にある程度時間がかかることや、切除した部位によっては臓器や体の機能を失ってしまう可能性があることです。また、小さい転移や手術不能な場所は適用できません。

こうしたデメリットを小さくする為に切除範囲を小さくすることなど体への負担を小さくする手術が増えてきています。

放射線療法のメリット・デメリット

メリットは1回の治療時間が短く手術ほど体への負担がないことや、年齢や事情により手術や抗がん剤治療が受けれなかった方でも治療できる点です。

デメリットはがん細胞だけではなく、正常な細胞も破壊してしまう為、副作用がでてしまう点、毎日治療を受けなければならない点です。最近では副作用に関しては和らげるようなケアを行っています。

化学療法のメリット・デメリット

メリットは血液によって全身に運ばれるので全身への効果が期待できることや、ごく小さな転移にも効果を期待できることです。

デメリットは抗がん剤はがん細胞の増殖を抑えることや腫瘍を小さくする為のものなので抗がん剤のみでは完治すことができないこと、そして薬による副作用があることです。抗がん剤は手術療法や放射線療法と組み合わせて行ったり、副作用を和らげる薬などが開発されています。

実際にいくら費用が掛かるのか。それぞれの療法にかかる費用について、参考例を出しながら、自己負担額3割適用されたもので解説していきます。

手術療法の費用

手術の種類やがんの種類によって手術は様々なので、ここでは平均で解説していきます。

乳がんにより乳房部分を切除し、その後転移しているかどうかの確認を行う乳房部分切除術およびセンチネルリンパ節生検を行った場合、平均入院日数3日で約27万円、大腸がんによりお腹に小さな穴を空け、そこから内視鏡の一種である腹腔鏡や様々な器具を入れがんを摘出する腹腔鏡下S状結腸切除術を行った場合、平均入院日数13日で約40万円、肺がんにより肺の摘出を行う腹腔鏡下肺葉切除術を行った場合、平均入院日数7日で約60万円です

詳しくはこちら→がん手術の治療費目安

放射線療法の費用

治療の期間は何週間かにわたり行い、基本的には通院で治療を行います。費用は放射線療法も症状や治療方法によって異なりますが、乳がんで高精度放射線治療を25回受けた場合約30万円、前立腺がんで高精度放射線治療を37回受けた場合約45万円、肺がんで定位放射線治療を11回受けた場合約20万円です。
詳しくはこちら→放射線治療・ハイパーサーミアセンター治療費について

化学療法の費用

抗がん剤を使用する期間のことを1~2週間を1クールまたは1コースと言い、その決められた期間を数クールあるいは数コース行います。点滴もしくは飲み薬で投与しますが、入院する可能性もあります。

費用は抗がん剤の薬の種類や頻度によりますが、大腸がんによる手術後の抗がん剤を投与した場合約14万円~約33万円、転移や再発により手術が行えなかった場合ですと約106万円~約337万円です。乳がんによる手術後の抗がん剤を投与した場合4万円~71万円、転移や再発により手術が行えなかった場合ですと約68万円~約240万円にもなります。

詳しくはこちら→がんになると、どんなお金がかかるの

上記のようにがんの種類や治療方法によって金額が大きく異なります。また、がん治療を行っていくにあたりセカンドオピニオンを利用する方も多いです。
しかし、セカンドオピニオンとはどのような制度なのでしょうか。解説していきます。

セカンドオピニオンについて

セカンドオピニオンとは、現在担当されている医師の治療方法が自分に合っているのか、他の医師に意見を求める制度です。セカンドオピニオンと担当医を変えることを同じだと考えている方は多いですが、それは違います。セカンドオピニオンは国も推奨してきた制度ですが、使い方を間違えると不利益を被るので注意が必要です。注意点として、基本的には自由診療となるので保険適用外です。その為高額になってしまう可能性もあるということです。

主治医との関係を壊したくないと思われ、主治医に言い出せない方が多いのではないでしょうか。しかし、セカンドオピニオンは患者の権利なので遠慮する必要はないです。最近では主治医の方から他の医師の意見も聞いてみますか。と言ってくれるケースもあります。このような関係性が理想的だと思います。

また、保険会社の付帯サービスで無料のセカンドオピニオンがあります。このようなサービスを活用するのも良いでしょう。

参考例→ドクターオブドクターズネットワーク🄬

今後のがん治療について

がんは早期発見が何より大切です。それはがんは小さければ小さいほど治療の際の体への負担が小さいからです。

まずはがんを予防する為に食事や禁煙、生活習慣の見直しをしていくことをおススメします。しかし、万が一がんになってしまった場合、長期にわたりがんと戦わないといけないかもしれません。そうなってしまった時の為に日々の生活費や加入している保険内容の整理などFPに相談するのも良いでしょう。

この記事を執筆したカウンセラー紹介

山内壮(やまうちそう)
2級ファイナンシャルプランニング技能士/AFP/トータルライフコンサルタント

大手金融機関に通算5年間勤務した後、より多くのお客様と「家族のように」解決策を1つずつ大切に話したい、
という想いからファイナンシャルプランナーに転身。
自身も1歳の子供のパパとして子育てに仕事に奔走しています!

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