相続対策に生命保険を活用して得られる3つのメリットを実務派ファイナンシャルプランナーが徹底解説 | ファイナンシャルプランナー相談はマネープランナーズ

相続対策に生命保険を活用して得られる3つのメリットを実務派ファイナンシャルプランナーが徹底解説

小峰一真
  • マネー

「相続税対策に生命保険が活用できます!」というコラムを読んだり金融機関から提案をされた方の多くが「私たちに必要なの?」「説明が長くて解りづらいなぁ」と感じているのではないでしょうか?このコラムではこのような疑問が解消出来るよう徹底解説して行きます。ぜひ、最後まで御覧ください。

なぜ、相続税対策が必要なのか

平成25年~26年にかけて相続税の制度が大きく変更になりました。

簡単に整理すると
・相続税の納税対象者が増えた(平成25年)
・相続税が増税された(平成26年)

この2点です。特に注意が必要なのが「相続税の納税対象者が増える」という点です。これは、基礎控除と言われる「ここまでの相続財産だったら相続税を支払わなくて良いですよ!」という計算式に変更があり、控除額が減ってしまったのです。

具体的には下記の計算式です。
・改正前 5000万円+(1000万円×法定相続人)
・改正後 3000万円+(600万円×法定相続人)    

この改正により都市部では相続税を納めることになる対象が2倍になると言われています。
「相続税のチェスター」平成25年・26年度税制改正情報(相続税・贈与税)

世帯主、配偶者、子ひとりの家庭で世帯主が亡くなり相続が発生した場合を例にして試算しみてると改正前は7000万円の基礎控除があったものが改正後は4200万円と控除額が6割に減ってしまいます。

都市部で持ち家があり平均的な財産をお持ちの家庭では対象になってしまうケースが増えて行く傾向にあることは確かです。

実際の東京都都内での相続→平成29年分の相続税の申告状況(東京都)

このように取りまく環境からも「相続税対策」が必要なことがお解りいただけますね。

相続税対策に生命保険は有効

では、「対象者が広がり」「増額された」相続税に対して有効な対策はあるのでしょうか?一般的には不動産購入や贈与などが挙げられますが手間や書類の準備、保管など誰もが簡単に取り組めるものではありません。

一方、生命保険はどうでしょうか?相続対策としてのメリットもあり比較的簡単に活用することが出来ると言われています。高齢者が心配になる健康状態も問わず加入する出来る商品がありますので利便性が高いです。それでは実際にどのようなメリットがあるか確認してみましょう。

相続対策に生命保険を活用する3つのメリット

生命保険で相続対策をすると得られるメリットを整理すると大きく3つのポイントに整理されます。

・非課税枠の確保
・上手な生前贈与
・保険特有の受取人の権利

この3点を中心にメリットを解説していきます。

相続税非課税枠

生命保険金は「みなし相続財産」という特有の評価で相続税の課税対象として扱われます。ただし、保険契約者と被保険者(保険の対象者)が同じ人物で、保険金の受取人が法定相続人というケースであれば500万円×法定相続人の数までは非課税となります。例えば、法定相続人が2人の場ケースは死亡保険のうち1000万円までが非課税となります。

保険は毎月コツコツ支払う契約からまとまったお金を資産運用を兼ねながら保険で準備することも出来るので、活用方法の選択が広いのも特徴です。

生前贈与

生前贈与はひとりにつき毎年110万円までが非課税となります。これを活用して毎年110万円以内の現金を事前に渡していく事も出来ます。しかし現金で渡すことで無駄遣いをさせてしまうことも考えられます。また、この方法は税務署からあらぬ疑いを持たれる可能性もあるので注意が必要です。

このような心配を解消する方法として生命保険を生前贈与に活用する方法があります。具体的には子を契約者として貯蓄性のある保険に加入し、毎年の保険料分(非課税の範囲)を子に贈与し、そのお金で保険料を支払います。ただし、こちらも書類(贈与に関する)を準備しておかないと税務署から疑われますので注意が必要です。

保険金受取人

当然ですが生命保険には受取人がいます。生命保険の受取金は受取人の権利として相続とは別なので相続放棄をしても受け取れます。また、納税資金としても活用でき、更に預貯金などと違い凍結されることもなくスムーズに受け取れますので被相続人としてのメリットが期待できます。

まとめ

相続税の納税対象者を広げたり料率を変更し増税にする可能性は今後も進んでいくことが予想されます。そのような中でできる対策をしっかりと検討することはとても大事なことです。しかし、解りづらいことも多く諦めてしまうことや必要のない保険契約をしてしまうこともあると思います。私たちファイナンシャルプランナーと現況を分析して対応していくことをおすすめします。

この記事を執筆したカウンセラー紹介

小峰一真(こみねかずま)

2級FP技能士/証券外務員2種/住宅ローンアドバイザー| 明治大学政治経済学部卒業

大手国内証券会社、外資系保険会社を経て、前職では独立系FP事務所に創業から携わっていました。資金計画作成、住宅購入相談、資産運用、保険相談など全般的に得意で、セミナー講師も担当しています。趣味はゴルフと読書、スポーツ観戦(横浜Fマリノス、明治大学ラグビー部を応援!)です。

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