「中古マンションを購入しよう!」と思った後「どうやって物件を探せば良いのだろう」と疑問に思われることもあるでしょう。特に、中古マンションは物件数が多いので、物件探しにコツがいります。そのコツを学べば、自分の希望に合った中古マンションがスムーズに購入できます。この記事では、中古マンションを購入したい方向けに、より効率的な物件の探し方や購入する前の注意点を解説していきます。
中古マンションのメリットは大きく4つ・デメリットは大きく2つです。まずメリットから解説していきます。
新築マンションを内見する場合、基本的にモデルルームを見ることになります。モデルルームとは、分譲マンションの販売促進のためにある「部屋の見本」のことで、敷地内や現地近くに建てられてることが多いです。
一方中古マンションの場合、実際に住む物件を内見することができます。その為、広さや間取りを直接見て、そこでの暮らしをイメージしやすいです。また、郵便受けやエレベーターの設備は奇麗にされているか、など管理体制を自分の目で確認してから購入を決めることができます。
マンションは基本的に築年数ごとに経年劣化するので価格が下がっていきます。その為、新築マンションだと手が届かないエリアでも、中古マンションなら希望が叶うこともあります。他にも、新築マンションの方が中古マンションに比べて高い理由は、マンションの「原価」に、営業マンの人件費やパンフレットやCM等広告費が上乗せされているからです。住宅費用を抑えたい方は中古マンションがオススメです。
2020年、新築マンションの販売戸数は全国で約11万戸、それに対して中古マンションの販売戸数は654万戸でした。※引用元:国土交通省「分譲マンションストック戸数(令和元年末現在/令和2年7月1日更新)」つまり中古マンションの方が多いので、希望に合った物件を選ぶことができます。「職場から近い場所が良い」、「子どもの教育の為に特定の学区内が良い」などの希望が叶いやすいですね。
建設中の新築マンションの場合、入居時期は売買契約をしてからおよそ1年程かかることがあります。しかし、中古マンションの場合は、売主の条件にもよりますが、新築マンションや戸建てに比べて比較的早く入居できる傾向にあります。平均的に購入手続きをしてから1~2か月後には入居が出来ます。子どもの進学、出産などの時期に合わせて家を探している方には特に嬉しいポイントと言えます。
中古マンションは、既に誰かが住んでいた部屋を買います。エアコンなど、部屋の設備は入居後に変更できますが、玄関のドアや窓、インターホン、などの共有部分と言われているところは変更出来ません。共有部分の変更不可は新築マンションでも同じですが、中古の場合だと古い設備になっており、劣化がひどい場合には修繕計画が近々ある可能性もあり、入居してから予想外に費用の負担が増える可能性もあります。
今の耐震基準は1981年から始まっており、「新耐震基準」と言います。「新耐震基準」は震度6~7程度の地震でも倒壊や崩壊を防げることを目安とされています。逆に1981年6月以前の物件は「旧耐震基準」と言われ、震度5程度で損傷しないことが目安とされていました。阪神・淡路大震災では新耐震基準のマンションには被害が少なく、旧耐震基準の物件に被害が多く発生しました。中古物件を購入する際は築年数や耐震基準を必ずチェックしましょう。
次に中古マンションの探し方を解説していきます。ポイントは「予算」「エリア」「築年数」の大きく3つです。1つずつ解説していきます。
どんなに気に入った物件と出会っても、予算内で無ければ購入まで至るのは難しくなってしまいます。そのため、「いくらまでローンが組めるのか」という予算感をつかむことが不可欠です。金融機関や年齢などによって借入条件は異なりますが、無理のない金額で検討しましょう。共働き夫婦の場合は収入合算やペアローンで借入総額を増やすことも可能です。
中古マンションの探し方で大事なのはエリア決めです。
・今住んでいるところが気に入っているから近くがいい
・職場や実家の近くに住みたい
・子どもの学区内
など、まずはご自身の希望をピックアップしてみましょう。しかし、エリアを絞りすぎると物件も限られてくるので、許容できる範囲はどこまでなのか、地図や路線を見て確認しましょう。
中古マンションの探し方で一番悩むポイントは築年数です。築年数が浅い物件は築年数が古い物件に比べ、奇麗なことが多いです。しかし、築年数が浅い場合、新築マンションと値段にあまり差がなく、むしろ相場の関係により値上がりしているケースもあります。一方、最近では築年数が古い物件でもリノベーションや内装リフォームがされていて、中身は新築同様な物件も増えてきています。
この3つの条件に関して、自分がどこまで許容できるのか、あらかじめ整理しておきましょう。その他、部屋の広さや間取りを家族と決めましょう。子ども部屋は必要か、部屋の広さはどれくらい欲しいかは家族構成によって変わります。
また、ペット可能な物件なのか、駅徒歩何分が希望か、その周辺の学区はどうなっているのか、などの条件を家族で出し合いましょう。
物件探しの方法は「不動産会社のサイト」「現地不動産屋巡り」「不動産検索アプリ」の大きく3つです。それぞれのメリット・デメリットを解説していきます。中古マンションは市場に出ている物件が非常に多いため、情報を上手く活用しましょう。
不動産検索サイト
メリット
・詳しい条件で探すことができる
・電話相談が無料でできる
デメリット
・広告不可の物件は見ることができない
現地不動産屋巡り
メリット
・検索サイトにない物件を紹介してくれることがある
・直接物件について相談出来るので、購入を検討しやすい
デメリット
・紹介物件が少ない
不動産検索アプリ
メリット
・手軽に多くの物件を探すことができる
・希望の条件に絞って、物件条件に合致した物件が新たに出てきた時、通知してくれる機能がある
デメリット
・物件の詳細が確認しにくい
・いつまでも探せてしまうので決める決断をしにくい
実際に中古マンションを購入するときに欠かせないことが内見です。内見で注意すべきポイントは大きく「管理状況」「間取り」「内装」「設備」「修繕計画」の5つです。
マンションを住みやすく維持・管理する組織として、管理組合があります。管理組合とは、一つのマンション購入者が集まって、清掃や修理等の管理を行い、居住者が快適に過ごせるように、さまざまな改善に取り組みます。
この管理組合が、しっかり機能しているマンションを選ぶことが大切です。不動産会社に依頼することで、気になるマンションの管理組合が決めた修繕計画や修繕資金の状況を見せてもらうことが可能です。
また、管理会社による管理が行き届いているか、ということも確認しましょう。内見する時はロビーや廊下、ポスト、ゴミ置き場、自転車置き場などの共有部分がきれいに保たれているか、確認しましょう。
部屋数や広さだけでなく、部屋の形によっても使いやすさが変わります。実際に持っている家具や購入予定の家具を置いた状態をイメージし、生活動線を考えてみましょう。
その為にも、事前に家具の大きさを測る、内見時にメジャーを持っていく、等準備をしておきましょう。また、部屋の開放感に大きく影響する天井の高さもチェックは欠かせません。
第一印象で「居心地が良い」と思う事が大切です。部屋の明るさや臭い、壁紙の色合いなど、購入の決断をする為に必要な要素を事前に把握しておきましょう。
内見した際には、壁紙や床の臭いを確認しましょう。タバコのヤニやペットの臭いはなかなか取れません。また、壁紙がよれてしまっている場合は建物自体がゆがんでいる可能性があるので注意しましょう。
バスルームやトイレ、キッチンなどの設備の使用感も確認ポイントです。一般的にキッチンやバスルームなど水廻りの寿命は15年~20年といわれています。
状況によっては、リフォームが必要になり、取得時の費用にも影響してくるので要注意です。15年を経過しているような物件で、水廻りの取り替えやリフォームなどの対策を行っていない物件については、値引き交渉などで対応してもらうように相談してみましょう。
修繕履歴を十分確認せずにマンションを購入すると、大規模修繕や今後行われる工事費用が足りず、修繕積立金が大きく値上がりをしてしまう、という予想しなかったことが発生するかもしれません。修繕は適切なタイミングで行わなければ効果がないため、修繕を実施している間隔も入念に確認しましょう。
マンションの修繕履歴には、不具合が出た箇所の自主的な修繕や法定検査など、過去に行った修繕がすべて記録されています。検討している中古マンションの修繕履歴は、不動産仲介会社に依頼することで、マンションの管理会社から取得が可能です。内見時に必ず確認するようにしましょう。
中古物件の中でも、リフォームやリノベーション物件で、表面だけ綺麗にした物件は注意が必要です。目に見えないところにリスクが多く潜んでいますので、「床下」「共有部分」「構造」「補償範囲」は特に抑えておきましょう。
床下を通っている給排水管が交換されておらず、場合によっては住んでからすぐ漏水してしまうリスクがあります。給排水管にも寿命があり、現在築20~30年前後のマンションで一度も配管を交換していない場合は、漏水の可能性があります。
下の階の方にも迷惑もかけますし、引っ越しをしてからの工事は時間もかかりますので大変です。リフォーム済み物件やリノベーション済み物件を購入する際は売主側に、床下まで全て新品にした工事かどうかの確認を必ずしましょう。
共用部分である廊下、ゴミ置き場、駐車場、エントランスなどは手を加えることはできません。清掃が行き届いていない、住民のマナーが悪い、モラルに問題がありそう、などと感じた場合は注意が必要です。
ご自身でリノベーションしたいと思うこともあるかもしれません。その時に壁の構造や配管の位置などによっては、リノベーションが困難なこともあります。マンションを購入するときには、不動産会社やリノベーション業者に、今後のリノベーションの可否を相談しておくと良いでしょう。
全面リフォームされているような中古マンションでは、一見新築のように見えるため勘違いしがちですが、リフォームの保障範囲は当然ながら「リフォームした部分のみ」です。
専有部分でもリフォーム工事で手をつけてない部分や、共用部分に該当するような部分は保障されません。新築マンションのつもりでアフターサービスの対応をしてもらおうと思ったら、対象外だった。などということのないように不動産会社に保障範囲はどこまでなのか確認しておきましょう。
中古マンションの購入にあたってよくある失敗例として「ローン」「市場価格」「住宅ローン控除」の大きく3つあります。順に解説していきます。
中古マンションの中でも、住宅ローンの審査が通りにくい、または通らないという物件があります。その理由は、物件の評価額(担保評価)が低いからです。
住宅ローンとは、「購入する物件を担保にしてお金を融資する」という仕組みで成り立っています。例えば5000万円を借りたくても、購入する物件を金融機関が4000万円程度と評価した場合、満額借りることが出来ません。借りた側が万が一住宅ローンを返せなくなった場合、その担保にしていた物件を売却することで、貸した側(金融機関)が残りのローンを回収するからです。担保評価が低い物件として、築年数が古い物件や修繕積立金が少ない物件が多いので注意しましょう。
購入時点では気に入った物件だったとしても、将来的には転勤や転職、親との同居、離婚などのライフプランの変化によって購入した物件を手放さなければならないこともあるかもしれません。資産価値の目減りが早い物件を購入した場合、ローンの残債額よりも物件の資産価値の方が常に低い状況となってしまう可能性もあります。
その為、資産価値が落ちにくい中古マンションを購入することが大切です。資産価値を保つマンションは「好立地」「優れた管理体制」「日当たりがいい」などといった特徴を持っているので抑えておくべき対策ポイントです。
住宅ローン控除は全ての物件に使えるわけではありません。住宅ローン控除には「登記面積50㎡以上」「耐火建造物は築25年未満」という要件があります。
登記面積とは「専有面積」ではなく、登記簿謄本記載の面積です。登記簿謄本は不動産会社に確認すればすぐにわかりますし、ご自身でもネットで取得可能ですので、不安な場合は確認してみましょう。
また、築25年未満の制限に関しては、その築年数を超えていても「耐震基準適合証明書」が取得できればクリアできます。取得方法は建築士事務所に所属している建築士に、「耐震基準適合証明書」を取得したいと申請し、耐震診断を受けます。そこで耐震基準をクリアしていれば「耐震適合証明書」を発行してもらえます。ただし、売主名義の段階で取得していないと意味がありません。購入前に手続きをしないとならないので、注意が必要です。
以上3つのポイントを抑えて、しっかりと対策を打ってから購入するようにしましょう。
中古マンションを購入するにあたり、抑えるポイントはたくさんあります。その中でも住宅ローンを組み、購入してから毎月の返済をしっかりとしていけるのか、適正な返済額で住宅ローンを組むようにしましょう。
いざ目当ての物件を購入できたとしても、日々の生活を圧迫してしまったり、返済ができなくなってしまった、といっては本末転倒です。
ですので購入する場合は、ご自身の借りられる金額はいくらなのか、無理なく返済していける金額はいくらなのか、まずはしっかりとしたライフプランを作成してくれるFPに相談しましょう。
加藤航四郎(かとうこうしろう)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
埼玉県出身。
大手金融会社に入社。
お客様とお話しをしていく中で、お客様と末永いお付き合いと、より中立的な立場からの手助けをしいたいという想いからファイナンシャルプランナーに転身。
若さを武器に全国のお客様のもとへ飛び回っている新進気鋭のファイナンシャルプランナー。
〇関連記事
注文住宅の注意点をFPが徹底解説!!