住宅ローンを組む際に固定金利と変動金利のどちらが良いのか、と悩まれる方が非常に多いです。今回は固定金利のメリットについて詳しく解説していきます。この記事を読めば、固定金利の仕組みやメリットが分かるので、どんな方が固定金利に向いているのかが分かります。
固定金利とはローンを借り入れた時からあらかじめ決められた期間において固定された金利のことです。住宅ローンの固定金利では「全期間固定金利型」ローンがあります。この代表的なものに、国の住宅金融支援機構である「フラット35」があります。
住宅ローンの固定金利である「全期間固定金利型」ローンは、世の中の金利水準が今後どれだけ上昇しても、金利は見直されないため返済額は変わらないという特徴があります。ここであらためて、住宅ローンにおける固定金利のメリットを整理します。
固定金利はローン完済まで金利が変わりません。例えば、世の中の金利水準がどれだけ上昇しても、金利が変動しないので返済額は変わりません。ですので、金利上昇時に大きな効果を発揮します。今後ローンを返済していくにあたって、金利が上昇していて返済額が増加した時に不安がある方や、一定期間ごとに金利が見直されることに不安を覚える方は、金利が一定の固定金利がおすすめです。
借り入れた時点で、完済までに必要な総支払額が確定するため、将来の資金計画を立てやすいこともメリットでしょう。金利の上昇の不安もなく、収支計画が立てやすいという面で安心感があります。借入時に、返済期間全体の返済が分かるため、お子様の教育費等のような支出にも対応しやすくなります。
固定金利は変動金利よりも借りられる金額が大きくなります。銀行はしっかりとローンを返済してほしいので、審査金利を基に、借入金額を設定します。固定金利は変動金利と異なり、返済期間中に金利が上昇するリスクがありません。固定金利は、そのリスクを除いて金利設定をしていることから、変動金利と比較して借入額が大きくなります。
全期間固定金利型の中にも、様々なプランが用意されています。選ぶ際のポイントとして以下の2つを抑えましょう。
・金利が低いローンを選ぶこと
固定金利は、世の中の金利水準が上がった場合下がった場合関係なく、ローンを借り入れた時に設定された金利が決められた期間続きます。そのため、低い金利で借り入れた方がメリットを享受できます。
参考までに、同じ全期間固定金利型ローンの場合でも、金融機関によって、金利は異なります。それは、金融機関が事業を運営するにあたって負担する費用や、手数料に差があるからです。そのため、同じ固定金利でローンを組む場合であっても、どの金融機関でローンを組むかが大事になります。
・融資事務手数料と保証料を確認すること
住宅ローンを組む際には、いくつか費用が掛かります。そのなかでも、金融機関に支払う「融資事務手数料」と「保証料」は必ずチェックしましょう。融資事務手数料は、名前の通り、住宅ローンを組む際に、金融機関に支払う手数料のことです。この手数料は、金融機関ごとに設定されているため、一律ではありません。
保証料は、保証会社と保証契約をするための費用です。住宅ローンを組む契約者が、何らかの理由で返済出来なくなった際に、契約を結んだ保証会社が代わりに返済をします。契約時に一括で支払う「一括前払い型」や住宅ローンの金利に上乗せして支払う「金利上乗せ型」があります。また、金融機関によっては保証料がない住宅ローンもあります。
低い金利で住宅ローンを組むことができたとしても、費用や手数料が高かかったことで、結果的に総支払額が大きくなってしまうこともあるため、必ず確認しましょう。
借入時の金利からさらに、金利を引き下げるプランを用意している金融機関もあります。例えば、住宅ローンを組む銀行が発行しているクレジットカードを作成し、一定の基準を満たしている物件であれば、当初の金利から1.500%金利を下げてくれるような銀行もあります。これは、借入する金融機関によって条件や金利の下がり幅が違うため、一度確認してみることをおすすめします。
変動金利で組む場合は、金利上昇が何%までなら、固定金利と比べて総支払額が安く抑えららるか、損益分岐点を把握しておくことも大切です。
それでは具体的に、5,000万円の住宅ローンを35年で組んだ場合でシミュレーションしてみましょう。
・全期間固定金利1.5%で組んだ場合
総支払額は、64,298,491円
・変動金利0.5%で組んだ場合(当初20年間、5年置きに金利が0.5%上昇したと仮定)
総支払額は、63,310,099円
結果、このパターンだと、変動金利の方が総支払額が少ないことが分かります。変動金利の6年目以降の平均金利が1.844%より高くなってしまう場合は、固定金利の方が、総支払額が少ないということになります。このように、損益分岐点を把握しておけば、金利が少し上昇しても精神的な負担は減るでしょう。
今までの話を踏まえて固定金利が向いている人は、金利の変動に一喜一憂したくない方や、計画的な返済をしていきたい方です。特に、これから教育費が掛かり、支出の予定が立てにくい方には、固定金利がおすすめでしょう。
固定金利は、完済まで金利が一定であるため、返済計画が立てやすく、安心して組むことができる住宅ローンです。ただし、今後、金利が上昇しなかった場合、変動金利の方が総支払額を安く抑えることができます。目先の返済額にとらわれず、ご自身には、どの返済方法が合っているのか、詳しくはFPに相談してみましょう。
増渕壮太(ますぶちそうた)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
埼玉県出身。
大手金融機関でキャリアを積み、もっと金融を身近なものとしてお客様に感じて欲しい、たくさんの金融商品の中から本当に良いものを紹介していきたいと考え思いきってFP会社の門を叩きました。(元々父親が自営業をしていたこともあり昔から経営やお金のことに関心が強かったということもあります。)学生時代はハンドボールとダンスをしていました。今は筋トレにはまっています!
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