現在、日本は約10年以上にわたり低金利が続いています。住宅購入を検討されている方は、今後の金利の動向が気になり、変動金利と固定金利のどちらを選ぶか悩む方が多くいらっしゃいます。そこで、今回は一般的に金利が低いといわれている変動金利のメリットと注意点について解説していきます。
変動金利とは、返済期間中に定期的に金利が変動するローンです。住宅ローンにおける変動金利は、短期プライムレートに連動しています。
短期プライムレートとは、金融機関が優良企業に対して1年未満で融資をする際の金利です。この金利は、日本銀行の金融政策の動向や、今後の景気の見通しが関係しています。住宅ローンの変動金利は、4月と10月の半年毎に、短期プライムレートに連動して金利が見直されます。
短期プライムレートが上がった場合には、変動金利も連動して上がります。その際の金利が上昇するリスクはローン契約者が負担しています。そのため、変動金利は固定金利と比べて、低金利で融資を受けることが出来ます。
ただし仮に、住宅ローン返済期間中に金利が上昇や下降した場合でも、翌月の返済額に影響はありません。なぜなら、金利の見直しは5年に1度が一般的であるため、月々の返済額は5年間変わりません。
2021年1月現在、変動金利の金利は、過去最低水準です。そのため、低い金利でローンを組み、利息をおさえて、ローンを返済していきたいという方にとってはおすすめです。それでは、ここで住宅ローンにおける変動金利のメリットを整理します。
一般的に、変動金利は固定金利よりも金利が低い傾向があります。固定金利の金利設定は新発10年国債の利回りに関係しており、期間が長くなるほど金利は高めに設定されます。一方、変動金利は先述の通り、短期プライムレートとほぼ連動しています。固定金利と変動金利で比較した時に、変動金利のリスクがローン契約者に帰属するため、変動金利は金利が低いです。
そのため、この低金利でローン返済中続く場合には、住宅ローンの総返済額は固定金利よりも少なくなると考えられます。
変動金利は、金利が半年毎に見直しされます。しかし、金利が変更されたからといって、返済額は5年間は変わりません。つまり、ローン開始後に金利が急上昇した場合でも、5年間は月々のローン返済額は変わらないということです。
しかし、注意すべき点があります。5年間は返済額は変更されませんが、金利上昇分の利息は支払わなければいけません。利息分は最終返済日に一括で返済するか、ローンの期間を延長して返済する必要があります。そのため、金利変動も視野に入れた資金計画を立てる必要があります。
もし、変動金利の金利が上昇した場合、それまでの返済額の125%までが上限というルールがあります。
例えば、3,500万円のご自宅を購入する際に、変動金利0.5%で35年ローンで組むケースでお話します。その場合、月々の返済額は90,854円です。契約から5年後、住宅ローンの金利の見直し時期になり、金利0.5%から3%に上がった場合、金利に基づいて計算すると、返済額は120,426円になります。ただし、125%ルールがあるため、上限額は113,568円になります。このように、金利が上昇する場合においても、金利が限度なく上がることはありません。
注意点として、金利の上昇幅が大きいと、ローンの元金の減りが遅くなるため、利息が発生し最終的な総返済額は増えていきます。
変動金利は、固定金利と比べて金利が低いという特徴があります。一方で、住宅ローン返済中におさえておくべきポイントや変動金利でローンを組む際の注意点がありますので、ここを踏まえた上で検討しましょう。
変動金利は固定金利よりも金融機関から借りることができる金額が少なくなります。融資した金融機関は、融資額とその利息をしっかり回収する必要があるため、審査金利を基に、借入金額を設定します。
変動金利は固定金利と異なり、返済期間中に金利が上昇するリスクがあります。変動金利は、そのリスクを考慮して金利設定をしているため、固定金利と比較して借入額が少なくなります。
変動金利は金利が上がると、先にローンの利息分から引かれていき、残った金額から元金が引かれます。その場合、借入額が大きい、また借入期間が長い場合、金利が上がると元金の減りが遅くなるため、最終的な総返済額は増えてしまいます。そのため、金利が上がることを視野に入れてローン金額を設定する必要があります。
変動金利を選択したが、ローンの返済が厳しくなる例として、そもそも無理な返済計画を立てていた事が原因として多々あります。変動金利は金利が上がると、月々の返済額が高くなり生活を圧迫します。そのため金利が上がり出費が増えた場合、預貯金で対応出来るか等を踏まえて、返済計画をしっかり立てましょう。
変動金利は金利の変動があるため、余裕資金がある方や夫婦共働きのご家庭に向いています。例えば、変動金利が上昇して月々の返済額が上昇した場合でも、返済する経済的な余力があるならば金利の上昇局面も対応することが出来ます。
また余裕資金がある方はその時に繰上げ返済をして、元金を減らし、月々の返済額を軽減するという選択も可能です。ちなみに、元々ローンの借入金額が少ない場合は、変動金利が上がっても返済額の影響は比較的少ないです。そのため返済期間が短い、借入金額が少ない方にも変動金利は向いています。
一般的に、変動金利は固定金利よりも金利が低いと言われています。しかし、ローンを組む際に、将来の資金計画を視野に入れて返済計画を立てないと、後々生活を圧迫してしまう可能性もあります。
ご家庭の住宅ローンの返済に変動金利が適しているか、返済計画に無理がないか、FPに相談してみましょう。
面家隆典(おもやたかのり)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
大手生命保険会社で個人と法人営業の経験を培い、幅広い選択肢を持ち自分に関わるお客様一人一人の思いを叶えたいという想いでファイナンシャルプランナーに転身。
一つの悩みの解決で終わるのだけでなく、その先を見据えた幅広い解決策を話します!