注文住宅は2021年9月までに契約するべきか?新しい住宅ローン控除の動向を要チェック! | ファイナンシャルプランナー相談はマネープランナーズ

注文住宅は2021年9月までに契約するべきか?新しい住宅ローン控除の動向を要チェック!

山内壮
  • マネー
  • 資金計画

今注文住宅の購入を検討している方、「住宅ローン控除が変わるので、今のうちに購入を!」という話を聞いたことはありませんか?一体どのように変わるのでしょうか?この記事では、住宅ローン控除についてもう少し深く知りたい、という方の為に基礎知識や住宅ローン控除の動向について解説していきます。

住宅ローン控除とは

そもそも住宅ローン控除とは、住宅ローンを借りて家を取得する場合、一定の条件を満たしていれば税額控除を受けることができる制度です。

「年末の住宅ローン残高」又は「住宅の取得対価」(家屋+電気設備等の付属設備+門や塀+)のどちらか少ない方の金額の1%(1年分の上限額40万円)が10年間所得税の金額から控除されます。所得税から控除しきれない場合は、住民税も控除されます。

※「住宅の取得対価の計算方法は以下のとおりです。

・住宅の取得対価の額の計算方法
消費税等 ÷ 消費税等の税率(8%又は5%) = 税抜の住宅の取得対価の額
税抜の住宅の取得対価の額 + 消費税等 = 住宅の取得対価の額

・土地等の取得対価の額の計算方法
住宅及び土地等の取得対価の合計額 - 住宅の取得対価の額 = 土地等の取得対価の額

引用:国税庁 確定申告書等作成コーナー

加えて、消費税率10%が適用される住宅を取得する場合、住宅ローン控除の適用期間が「10年」から「13年」になる特例措置もあります。条件の1つとして注文住宅の場合、2021年9月30日までに契約し、2022年12月31日までに入居した場合となります。

住宅ローン控除が変わる?

所得税や住民税から控除できることで、家計の負担を減らすことができるので、購入者にとって非常に良い制度です。しかし、その制度が2022年度以降存続するか疑問視されています。

その理由は、現在変動金利の住宅ローンは年利0.4%程度で、1%相当分の税額控除を適用すると、年利-0.6%の「逆ザヤ」になってしまうという背景があります。その為、ローンを組む必要のない人がローンを組むことや、繰上返済ができる人が繰上返済をしなくなることが増えています。

その為、2022年の税制改正において控除額が変更される可能性が高いです。具体的にどのように変わるかというと、控除率を1%または実際に支払っている利率のどちらか小さい方と規定すれば、最大でもゼロ金利になるので、逆ザヤを求めてあえてローンを借り入れるような現象は起こらなくなります。注文住宅を購入する際、住宅ローン減税を活用するのであれば、2021年9月30日までにハウスメーカーや工務店と「建築工事請負契約」を済ませておくと良いでしょう。

注文住宅の取扱いは?

上述したように、住宅ローン控除を受けるには契約や入居期間も大事ですが、注文住宅は以下の適用条件も満たす必要があります。

①住居の引き渡し日から6ヶ月以内に住み、適用を受ける年の12月31日まで住んでいること
②住宅ローン控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること
③床面積が50㎡以上あり、床面積の1/2以上が居住用であること
 (特例適用の場合、合計年間所得1,000万円以下ならば床面積40㎡以上に緩和)
④住宅ローンの返済期間が10年以上であること
⑤住み始めた年の2年前と3年後の計6年間に、それまで住んでいた住宅の売却で「3000万円特別控除」や「特定居住用財産の買換え特例」などの適用を受けていないこと

どれくらい変わる?

今住宅購入する場合と2022年以降で変更される場合、どれくらい控除額が変わるかシミュレーションしてみました。

試算条件

・30代世帯主(年収800万円の会社員)、30代配偶者(年収400万円の会社員)、未就学の子ども
・長期優良住宅 6500万、消費税10%で購入
・2021年9月までに契約締結、2022年12月までに入居 
・返済期間35年、ボーナス返済なし、変動金利0.5%(元利均等返済、金利は控除期間中続くとする)
・住宅ローンの債務者は世帯主のみ
・住民税は一律10%とする

現行制度時の購入(ローン残債1%控除)
住宅ローン控除合計額 599.6万円(13年間分)

制度変更後の購入(変動金利0.5%の控除)
住宅ローン控除合計額 282.5万円(10年間分)

このように、2022年の税制改正後に住宅購入する場合、控除額の総額は317.1万円の差が出る可能性があります。住宅購入の予定がある人は、節税効果が高い今の住宅ローン控除を受けられるうちに入居を検討した方が良いでしょう。

また、住宅ローン控除額は、控除期間中の年収で所得税・住民税の金額が変わるので、試算結果は目安としてとらえましょう。

まとめ

住宅は高額な買い物だけに、住宅ローン控除を活用することで、数十万〜百万円単位で負担が軽減される可能性があります。注文住宅を検討する場合、2022年の税制改正前、入居期限の条件として2021年9月30日までに契約を済ませたが良いでしょう。

しかし、「一生で一番高い買い物」と一般的に言われている住宅は、焦って購入を決断すると後悔することにもなりかねません。最新の住宅ローン控除の情報などを常にチェックしているFPに相談し、着実に準備を進めていくことをおススメします。

この記事を執筆したカウンセラー紹介

山内壮(やまうちそう)

2級ファイナンシャルプランニング技能士/AFP/トータルライフコンサルタント

大手金融機関に通算5年間勤務した後、より多くのお客様と「家族のように」解決策を1つずつ大切に話したい、
という想いからファイナンシャルプランナーに転身。
自身も1歳の子供のパパとして子育てに仕事に奔走しています!

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