加給年金制度について解りやすく紹介 | ファイナンシャルプランナー相談はマネープランナーズ

加給年金制度について解りやすく紹介

吉村 将成
  • 資産運用

このコラムを読むと解ること
#加給年金制度について#申請時の注意点#大切な年金を無駄なく受け取るには

「加給年金」とは、配偶者やお子さんを養っている一定の方が、老齢厚生年金の受給とともに、年金額に上乗せして受給できる年金です。
ちょっと聞き慣れない「加給年金」について、今回は、加給年金制度の内容、受け取るための要件、受け取れないケース、請求の注意点などをわかりやすく解説します。なお年金額は、平成31年度の年金額を使って説明しています。

加給年金制度について

加給年金とは、老齢厚生年金の受給者(20年以上の被保険者期間)に、生計を維持する一定の配偶者や子がいる場合、年金額に加算される、いわば家族手当のような年金です。
加給年金の年金額は、
・配偶者 224,500円
・1人目、2人目の子 各224,500円
・3人目以降の子 各74,800円
となります。
加給年金の対象となる配偶者は、65歳未満であることが条件です。配偶者が65歳に到達すると加給年金の支給は停止されます。(65歳になると、振替加算の対象になる場合があります。)つまり配偶者の加給年金は、配偶者が受給者よりも若く、年齢差があるほど、長く受け取れる年金となります。

また、配偶者の加給年金には「配偶者特別加算」によって、受給者の生年月日が平成18年4月2日以降の場合、年額16万5,600円が加算されるため、実際の年金額は39万100円となります。

加給年金が受け取れない時

加給年金を受け取るには、受給者、加給年金の対象になる配偶者と子のそれぞれに、要件があります。
一つでも満たさない要件がある場合は、加給年金を受け取ることはできません。
<受給者の要件>
・厚生年金の被保険者期間が20年以上あること
・加給年金の対象者となる配偶者・子との間に生計維持関係があること
<配偶者、子に共通する要件>
・年収850万円未満であること
<配偶者の要件>
・65歳未満であること
・配偶者自身が、一定の年金の受給者でないこと
<子の要件>
・年齢が「18歳到達年度末」または「20歳未満(障害等級1級か2級の場合)」であること

加給年金を申請する際の注意点

・受給開始の届出が必要
加給年金は、受給条件がそろった翌月から受給することができます。
受給するには、年金事務所へ必要書類とともに届け出を行う必要があります。年金の受給権が原則5年で消滅することに注意が必要です。

・「特別支給の老齢厚生年金」と併せて受給漏れに注意
「特別支給の老齢厚生年金」(60歳から64歳の間に受け取れる年金)のうち「定額部分」を受け取れる人(男性:昭和24年4月1日以前生まれ、女性:昭和29年4月1日以前生まれ)の場合、加給年金は、この「定額部分」とともに受給することができます。この「特別支給の老齢厚生年金」の請求を忘れることにより、加給年金の受給を併せて逃すケースがあるため、該当しないか注意が必要です。
・老齢厚生年金の繰り下げに注意
老齢厚生年金の繰り下げを行うと、その間、加給年金は支給されません。
配偶者の加給年金は年間約39万円ととても高額ですので、割増される年金額とどちらがお得かよく吟味する必要があります。
なお、加給年金は繰り下げしても増額されません。

まとめ:加給年金制度を正しく理解しよう

加給年金を損をすることなく受け取るには、まず自分が加給年金を受け取れる対象かどうか、そして、「いつ」受け取れるようになるかを知ることが非常に大切です。
また、繰り下げを検討されている方は、本当にその繰り下げがお得かどうかをシミュレーションする必要もあります。
年金制度は非常に複雑で、加給年金以外にも、聞き慣れない年金制度がたくさんあります。大切な年金を無駄なく受け取るため、まずは専門家に相談しましょう。

この記事を執筆したカウンセラー紹介

吉村将成(よしむらまさなり)
2級ファイナンシャルプランニング技能士/経営管理修士(MBA)

大手外資系企業の営業、人事、経営企画室を経て生命保険系ベンチャーに転職。メットライフ生命とのパートナーシップ事業にて3年間で14社約150名の保険代理店グループを形成。2014年12月当社の親会社インシュラーズ株式会社を設立。株式会社マネープランナーズ取締役。

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