コラムを読むと解ること
#投資信託の見分け方#純資産投資額とは#シャープ・レシオとは
iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)やつみたてNISA(少額投資非課税制度)などの中核商品として注目を集めている投資信託。プロに運用を任せることができ、少額から分散投資できるので初心者でも始めやすい金融商品です。
しかし、国内の投資信託の数は6,000本以上あり、何を基準に選べばいいのか迷われる方も多いと思います。今回は投資信託の安定性から次の2つをご紹介します。
①純資産総額
②シャープ・レシオ
ぜひ投資信託を選ぶ際の参考にしてみてください。それでは、それぞれ詳しく解説していきます。
純資産総額とは、ファンドの大きさです。ファンドで投資している株式や債券の価格を合計し、配当や利息を加えて運用手数料(信託報酬)を引きます。具体的な計算式は以下のようになります。
一般的に、純資産総額が大きいファンドを選ぶべきです。それは、以下の2つの理由からです。
資産規模が大きければ多くの銘柄に投資できるので、分散効果が高まります。
純資産総額が大きければ、投資信託の経費率(純資産総額に占める経費の割合)を抑えることができます。例えば、運用報告書の作成や監査費用は、純資産総額が1,000億円でも10億円でも変わりません。コスト負担は、純資産総額が大きくなるほど軽くなります。
それでは、純資産総額はどの程度を目安にすればいいのでしょうか。
まず、10億円に満たない投資信託は購入対象から外すべきです。純資産総額が小さいと繰り上げ償還のリスクが高まるからです。繰り上げ償還とは、事前に決められた償還期日を迎える前、あるいは償還期日がない無期限ファンドであるのに償還されてしまうことです。
償還されると、投資信託で運用することができなくなってしまいます。
投資信託を運用する際にかかるコストを、ギリギリ賄える純資産総額が30億円といわれています。ただ、30億円ギリギリでは、解約がでたり保有資産が値下がりしたりすると、簡単に30億円を割り込んでしまいます。
純資産総額が30億円以上あればコストを賄うことができますが、分散投資の効果が十分発揮できるのは純資産総額が100億円以上です。ただ、純資産総額が十分でも何カ月にもわたり減少している投資信託は要注意です。
保有資産の下落によるものなのか、解約が増加しているのか調べ、解約が増えているようなら、その原因を確認するようにしましょう。
シャープ・レシオとは、投資信託がどの程度のリスクを取りながらリターンを得ているかを測る指標です。計算式は以下のようになります。
シャープ・レシオは大きいほど資金効率が良いとされ、1を超える投資信託は優秀といわれています。また、投資信託同士の比較に使われます。
例えば、次のような2つの投資信託があったとします。
無リスク資産の収益率を2%とします。
一見、リターンの高いBの方が有利に見えますが、同時にリスクも高くなっています。シャープ・レシオで比較して見ましょう。
(7ー2)÷10=0.5
(12-2)÷25=0.4
シャープ・レシオは投信A0.5、投信B0.4となり、投信Aの運用効率が優れていると判断します。シャープ・レシオはモーニングスターなど投資情報サイトで確認できます。
今回は、投資信託の見分け方として純資産総額とシャープ・レシオをご紹介しました。
純資産総額は、大きいほど分散投資の効果が期待できます。一方、10億円未満は繰り上げ償還のリスクがあるので注意が必要です。また、シャープ・レシオは投資信託の比較を行うのに便利な指標です。投資信託を購入する際の参考にしてみて下さい。
小峰一真(こみねかずま)
2級FP技能士/証券外務員2種/住宅ローンアドバイザー| 明治大学政治経済学部卒業
大手国内証券会社、外資系保険会社を経て、前職では独立系FP事務所に創業から携わっていました。資金計画作成、住宅購入相談、資産運用、保険相談など全般的に得意で、セミナー講師も担当しています。趣味はゴルフと読書、スポーツ観戦(横浜Fマリノス、明治大学ラグビー部を応援!)です。