「つみたてNISA」は、投資初心者にとって始めやすい制度です。100円から始められて、非課税制度も利用できます。しかし、「仕組みがよく分からない」「何がお得なの?」と思われる方も多いのではないでしょうか。この記事では、「つみたてNISA」が出来た背景や特徴など、基本的なことについて解説していきます。
「NISA」は、イギリスの「ISA(アイサ)」という制度を参考にして作くられ、その日本版として「Nippon」の「N」を付けた「NISA(ニーサ)」という略称になりました。「ISA」は「Individual Savings Account」の略で日本語では「個人貯蓄口座」を表しています。
「NISA」は、少額からの投資を行う方のための非課税制度のことで、2014年から利用できるようになりました。「NISA」は年間120万まで投資した分の利益は非課税となり、それが5年間適用されます。「今あるお金を増やしたい人」向けの制度です。
「つみたてNISA」は2018年から制度開始されました。「NISA」があるにも関わらず、何故出来たのでしょうか?
その理由は、若年層の利用者を増やす目的です。先述した通り、「NISA」は「今あるお金を増やしたい人」向けだったので、利用者は資金がある60代,70代が多く、20~40代にあまり活用されていませんでした。※引用元:金融庁「NISA・ジュニアNISA口座の利用状況調査(平成30年12月末時点(確報値))」
しかし、若い人の年金受け取り額は少なくなることは明白なので、貯蓄していくのではなく、今から自分で投資・運用をしていかないと、老後の為の資産形成が間に合いません。
そこで、若い人にも貯蓄から運用への流れを作る為に、「お金をつみたてて増やしたい人」向けの「つみたてNISA」が出来ました。
「つみたてNISA」には5つの特徴があります。
①20歳以上の日本在住の方が利用できる
0~19歳はジュニアNISAという制度が利用可能
②金融庁が定めた投資信託のみ対象
普段購入が出来る約6000種類の投資信託の中から、176種類のみ※参考:投資信託協会「投資信託の全体像(令和2年4月)」
③1人1口座で、一般NISAと併用不可
途中で一般NISAに変更可能
④年間40万まで投資した分の利益は非課税
月々3万円弱くらいの投資額になる。途中で積立額変更可能。つみたて休止も可能。
⑤最長20年間制度利用可能
途中で投資信託の売却が可能。お金の引き出しも可能。
「つみたてNISA」には以下のメリット・デメリットがあります。
メリット①:運用益(投資に対する利益)が非課税
投資額40万円×20年の合計800万まで
メリット②:積み立てながら投資ができる
まとまったお金が無くても始められ、毎日・毎週・毎月・3カ月毎・年2回など、指定した頻度で自動的に積み立てられます。よって、投資のタイミングの判断がいらず、買付ける手間がかかりません。
メリット③:いつでも換金できる
売却・引き出しはいつでも可能
※但し、売却した分非課税枠が戻ってくる訳ではない
デメリット①:元本割れの可能性がある
金融庁が定めた商品でも、運用成果によっては元本割れを起こす可能性もあります。
デメリット②:選択できる投資信託が少ない
対象以外の投資信託や株式、REITなどを選べない
デメリット③:非課税になる投資額が少ない
年間で40万を越える部分は制度が使えず、非課税にならない
「つみたてNISA」が向いている人は、「お金をつみたてて増やしたい人」です。具体的に言うと、20年間くらい積み立てしていき、非課税制度を上手く使ってコツコツと増やしていきたい、と思われる方には良いでしょう。
逆に向いていない人は、「今あるお金を増やしたい人」「投資信託以外にも投資したい人」です。しかし、『自分が向いているのか向いていないのか分からない』という方もいらっしゃいます。「つみたてNISA」を考えているのであれば、客観的に状況判断でき、一緒に話し合えるFPに相談するのはいかがでしょうか。
加藤航四郎(かとうこうしろう)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
埼玉県出身。
大手金融会社に入社。
お客様とお話しをしていく中で、お客様と末永いお付き合いと、より中立的な立場からの手助けをしいたいという想いからファイナンシャルプランナーに転身。
若さを武器に全国のお客様のもとへ飛び回っている新進気鋭のファイナンシャルプランナー。