株式取引のファンダメンタルズ分析には、「グロース投資」と「バリュー投資」の2種類があります。ファンダメンタルズ分析とは、企業の業績を分析した上で投資先を判断することです。今回はその二つの手法のうち、グロース投資に焦点をあてて解説していきます。
株式の分析手法には「テクニカル分析」と「ファンダメンタル分析」の2種類があります。
テクニカル分析とは過去の値動きをチャートで表してトレンドやパターンを把握し、今後の相場の先行きを予想します。
ファンダメンタルズ分析とは、企業の財務状況や業績をもとに企業の本質的価値を見極め、市場価格(株価)とのギャップを分析する手法です。
テクニカル分析とファンダメンタルズ分析は、投資判断のアプローチは異なりますが、より高いリターン(収益)を上げ、損失を最小限に抑えるという目標は同じです。
そして、ファンダメンタルズ分析には「グロース投資」と「バリュー投資」の二種類があります。
グロース投資とは、株価の水準より売上高や利益の伸び率など、将来の成長性が期待できる銘柄に投資する手法です。成長株投資とも呼ばれています。
バリュー投資とは、株価が割安と判断される銘柄に投資する手法です。主に株価収益率 (PER) や株価純資産倍率(PBR)などの指標をもとにして投資対象を選別します。
グロース投資は、売上高や利益の伸び率が期待できる銘柄に投資します。グロース株を探す際は、以下のポイントに注目します。
1.売上・利益の伸び率
2.ROE
3.時価総額
グロース株のPERやPBR は市場平均より高くなる傾向がありますが、それよりも売上や利益が伸びているかどうかということを重視します。企業の業績がどの程度伸びているかという点を調べるために、売上高変化率・経常利益変化率を調べます。
売上や利益の変化率は、最低でも3年できれば5年以上を分析するようにしましょう。
ROEは「Return On Equity」の略で、日本語では自己資本利益率といいます。企業が株主から集めた自己資本を、どれだけ有効に活用して利益を上げているかを示す指標です。 ROE が高いほど効率的に資金が支えていることを表します。 ROEの計算式は以下の通りです。
ROE(%)=当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
ROEが10%以上だと優良企業だと判断します。
時価総額とは、発行済株式数に株価をかけたものです。計算式は以下の通りです。
時価総額=発行済株式数 × 株価
株式市場に上場している株は、時価総額で次の三つに分類されます。
1.大型株
時価総額の大きい株式(時価総額2,000億円以上)
2.中型株
時価総額が中規模の株式(時価総額1,000億~2,000億円)
3.小型株
時価総額が小さい株式(時価総額1,000億円以下)
発行済株式数の多い大型株は、株価の乱高下が小さいというメリットがありますが、大きな上昇も期待しづらいです。一方、中小型株の場合は、大きく株価が上昇する可能性もあります。
時価総額だけで判断できませんが、バリュー投資では時価総額1,000億円未満の小型株を狙ったほうが、株価上昇余地があると考えられます。
今回は、グロース投資について解説しました。グロース投資とは、成長が期待できる企業の株を購入することです。次の三つを判断指標とします。
1.売上・利益の伸び率
2.ROE
3.時価総額
ただ、日本の株式市場には約4000銘柄の企業が上場しています。この中からバリュー株を見つけるのは、難しいと感じる人もいるでしょう。そのような場合は、資産運用のプロであるFP(ファイナンシャルプランナー)に相談してみてはいかがでしょうか。
売上や利益の伸び率、ROE や時価総額を考慮したスクリーニング(銘柄の選出)の方法を詳しく教えてくれます。最終的に購入銘柄を決定するのは投資家自身ですが、そのための判断材料を示してくれるのです。
まずは、バリュー投資とは具体的にどういうものなのかを聞くところから始めてみてはいかがでしょうか。
小峰一真(こみねかずま)
2級FP技能士/証券外務員2種/住宅ローンアドバイザー| 明治大学政治経済学部卒業
大手国内証券会社、外資系保険会社を経て、前職では独立系FP事務所に創業から携わっていました。資金計画作成、住宅購入相談、資産運用、保険相談など全般的に得意で、セミナー講師も担当しています。趣味はゴルフと読書、スポーツ観戦(横浜Fマリノス、明治大学ラグビー部を応援!)です。
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