現在保活中の方や子どもを保育園で預かってもらおうと考えている方は、料金がどのようにして決まるかご存じでしょうか。認可外保育園は料金が決まっていますが、認可保育園の料金は世帯によって差があり、わかりにくいと感じるかもしれません。
実はこの保育料、「あること」をすれば下げてもらう可能性があります。保育園の料金がどのようにして決まるのか、そして保育料を下げる方法について詳しくご紹介します。
保育園の料金は、自治体に支払う住民税の納付額で決定します。所得が高くなればなるほど住民税の納付額も高額になるため、保育料もそれに伴って高額になります。
例えば千葉市の場合、年間の市民税納付額が48,600円未満の世帯では3歳未満の第一子の基準額が6,170円です。最高額になると市民税納付額が671,800円以上で保育園の料金が70,900円となり、所得によって大きく差があります。なお、生活保護世帯や市民税非課税世帯は保育料がかかりません。
詳しい保育料については、お住いの自治体のホームページなどで確認してみましょう。
所得が高くなれば保育料も高くなると住民税・保育料も高くなると説明しましたが、言い換えれば「所得が低ければ保育料も低くなる」ということです。
ですが、保育料を下げるために所得も下げようとする人はいないでしょう。そこで、収入を減らすのではなく、課税対象となる所得を減らす「所得控除」を利用することで、保育料を下げられる可能性があります。
考え方としては「節税」と同じで、どれだけ課税対象額を減らせるかが保育料を下げるポイントとなります。次にご紹介する所得控除をうまく活用しましょう。
生命保険のほか、介護保険、医療保険などは一定の条件を満たせば支払った保険料を所得から控除できます。
病院での診察費用や調剤薬局で処方してもらった薬代が、年間で10万円を超えた場合、確定申告をすれば住民税が下がるので、保育園の料金も下がる可能性があります。
住民税の節税効果が最も高いのがこのiDeCoです。積み立てた金額全額が所得控除の対象となります(ただし、拠出額に上限があります)。
公的年金とは別に、iDeCoで毎月の積立金を運用し、老後資金を増やせることから将来にわたってメリットの大きい制度と言えます。
ただ、一度利用を始めたら解約ができない、60歳になるまでお金をおろせないなどのデメリットもあります。とはいえ節税効果が高く、保育園の料金も下がる可能性を考えると、ぜひとも利用を検討したいところです。
このように、世帯の所得を下げることで保育料を下げる可能性がありますが、確実に保育料が下がる方法のひとつに「多子軽減制度」があります。
第一子の保育料は変わりませんが、自治体によっては第二子が通常の保育料の半額、第三子は半額か無料とするところもあり、保育園の料金の負担が軽減されます。ただし、第一子が就学前児童であることと、幼稚園や認定こども園など自治体が指定する対象施設に通っていること、などの条件があります。こちらも、お住まいの自治体で詳しい情報を確認しておくと良いでしょう。
ここでご紹介した方法で、確実に保育料を下げられるという保障はありません。なぜなら、控除前と控除後の金額がそれほど変わらず、階層区分が控除前と変わらないために料金が同じ金額になる可能性があるからです。
ただ、住民税・保育園の料金を下げる方法があることをおわかりいただけたと思います。自治体から通知された保育園の料金を見て予想外の金額に愕然としたという方は、ぜひともここでご紹介した方法を試してみてくださいね。
吉村将成(よしむらまさなり)
2級ファイナンシャルプランニング技能士/経営管理修士(MBA)
大手外資系企業の営業、人事、経営企画室を経て生命保険系ベンチャーに転職。メットライフ生命とのパートナーシップ事業にて3年間で14社約150名の保険代理店グループを形成。2014年12月当社の親会社インシュラーズ株式会社を設立。株式会社マネープランナーズ取締役。
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