安易に投資してはいけない仕組債のリスクを解説

将成吉村
  • 資産運用

仕組債は、高い利回りが期待できる債券です。しかし、他の債券と異なりスワップやオプションなどデリバティブを利用しているので、相場環境によっては思わぬ損失を被る可能性があります。この記事では仕組債の仕組みから、リスクについてまで詳しく解説します。

仕組債とは

仕組債とは、スワップやオプションなどデリバティブを組み入れた債券です。 スワップとは、ある一定の条件のもとで、異なる金利や通貨を交換する取引のことです。オプションとは、あらかじめ決められた価格で、一ヶ月後など決められた時期に買ったり売ったりできる権利のことです。

仕組債はこれらのデリバティブを用いて、債券の満期・クーポン(利子)・償還金などを、投資家のニーズに合わせて比較的自由に設定できます。

低金利で運用先に悩んでいる
日々の値動きを気にするには大変
売買タイミングをつかんで取引するのは難しい

という投資家のニーズを満たした商品が仕組債なのです。

仕組債の種類

発行者とアレンジャー(仕組債の組成を行う金融機関)が、投資家のニーズを探りながらデリベティブを用いて仕組債を設定します。個人投資家が買える主な仕組債は次の2つです。

1.EB債
EB(Exchangeable Bond)は、満期償還日に投資した資金が現金ではなく、株式で償還される可能性のある債券です。あらかじめ決めた価格(ノックイン)以上なら現金償還、以下なら株式償還になります。

たとえば、現在の株価が800円の銘柄で期間を3カ月としたEB債を発行したとします。ノックイン価格が500円に設定されている場合、3カ月以内に500円以下になれば株式償還、500円を上回る水準を維持すれば、元本と利息が返ってくるのです。

EB債は株式償還されると損失になる可能性があります。ただ、元本割れのリスクがある分、金利も高い傾向にあるのです。

2.リンク債(主に株価指数に連動)
リンク債は、日経平均株価など株価指数を対象にした仕組債です。EB債と同様、ノックイン価格に達しなければ高利回りが期待できますが、ノックインした場合は元本割れで償還される場合もあります。

たとえば日経リンク債の場合、償還時の日経平均株価が下がっていれば、大きな損失がでる可能性があるのです。EB債は株式償還ですが、リンク債は現金償還されます。

仕組債のリスク

仕組み債と一般的な債券に共通するリスクは以下のようなものがあります。

1.信用リスク
信用リスクとは、債券の発行者の倒産などによって債券の利払いや元本の償還がなされなくなるリスクです。信用リスクを判断するためには、「格付け」をチェックします。格付けとは、企業の通知表のようなもので、その債券に投資しても安全なのかどうかを民間の格付け会社が発表しています。

格付け会社としては、米国のムーディーズ社やS&P(スタンダード&プアーズ)、日本のR&I(格付投資情報センター)などが有名です。

2.価格変動リスク
債券を満期まで保有せずに途中で売却する場合、市場価格での売却になります。市場環境によっては、売却価格が購入価格を下回ることがあります。

3.流動性リスク
市場環境などにより換金性が著しく低下した場合、債券を売りたい値段で売れないという流動性リスクがあります。債券の大半の取引は、証券会社が相手方となる相対取引です。証券会社が売却に応じてくれないと、保有債券を売却できなくなります。

仕組債固有のリスク

一般的な債券に共通するリスクに加えて、仕組債には以下のような固有リスクがあります。

1.クーポン(利子)が減少するリスク
通常の債券ではクーポンが決まっていますが、仕組債は参照指数(株価指数、株価、金利、為替など)の変動により、投資家の受け取るクーポンが減少するリスクがあります。

2.償還金に損失がでるリスク
通常の債券では、償還日に満額の金額が返ってきます。しかし、仕組債では参照指数が変動することで、投資家が受け取る償還金に損失がでるリスクがあります。

3.アレンジャーやスワップハウスの倒産リスク
仕組債を組成するアレンジャーや、デリバティブ取引を行っているスワップハウスがデフォルト(債務不履行)を起こした場合、損失が生じるリスクがあります。

まとめ

仕組債は高い利回りが狙える反面、元本割れのリスクがあります。仕組みも複雑で、通常の債券に投資した経験のある方でも理解するのは難しい面もあるのではないでしょうか。投資において一番大切なのは、理解できないものには手をださないということです。

仕組みやリスクを把握しないで投資をすることは、大きな損失を招くことがあるので危険です。そこで、仕組債の理解を得るためにFP(ファイナンシャルプランナー)に相談してみてはいかがでしょうか。仕組債は、1本1本仕組みが異なります。具体的にどのような内容の仕組債なのか、リスクはどの程度あるのかを相談しましょう。

仕組債は高い利回りだけで購入すると、思わぬ損失を被る恐れがあります。資産運用のプロであるFPに相談して、仕組債の仕組みに納得してから購入するようにしましょう。